高麗人参は身体の炎症を抑制して貧血を防ぐ
貧血はさまざまな原因で起こり、貧血の原因のひとつに感染症や関節リウマチなどによる身体の炎症があります。こうした炎症が原因で起こる貧血は、炎症性貧血とも呼ばれます。
高麗人参には、炎症を抑制する抗炎症作用をもつ成分が含まれているほか、免疫機能を調整して感染症や関節リウマチを抑制する効果があります。高麗人参は、身体の炎症による貧血の予防・改善に役立ちます。
身体の炎症は貧血を引き起こす
感染症や関節リウマチなどによって身体の組織に炎症が起こると、血液中に炎症性の物質が多く放出されます。こうした炎症性の物質は、赤血球の生成に悪影響を及ぼします。
・炎症は血液中の鉄を減少させる
赤血球の生成には、材料となる鉄の供給がとても重要です。
鉄の吸収や体内での鉄の再利用を調整しているホルモンに、肝臓から分泌されるヘプシジンがあります。感染症などによって炎症性の物質が血液中に多く放出されると、このヘプシジンの分泌が過剰になり、鉄の吸収や再利用が抑制されて鉄が不足します。
また、感染した細菌が人間の体内で生存・増殖するには、鉄が不可欠です。このため、感染症にかかると細菌の増殖を抑制するために、免疫細胞が細胞内に鉄を多く取り込みます。こうした免疫細胞の働きは身体を細菌から守るために行われますが、鉄の取り込みが続くと血液中の鉄が減少して赤血球の生成が滞り、貧血の原因になります。
・骨髄で行われる赤血球の生成を妨げる
赤血球の生成には、腎臓から分泌されるエリスロポエチン(EPO)と呼ばれるホルモンが不可欠です。エリスロポエチンには、骨髄で行われる赤血球の生成を促進する作用があります。
身体に炎症が起こると、腎臓からのエリスロポエチンの分泌量が減少します。また、エリスロポエチンに対する骨髄の反応が鈍くなり、赤血球の生成が阻害されることが確認されています。
骨髄で行われる赤血球の生成を正常に保つためには、身体の炎症を抑制することが重要です。
・赤血球の寿命が短くなる
赤血球の寿命は約120日です。赤血球が古くなって酸素運搬能力が低下すると、脾臓(ひぞう)と呼ばれる臓器の働きによって古い赤血球が破壊され、鉄などが再利用されます。
明確な理由は不明ですが、感染症などの慢性疾患の患者は、赤血球の寿命が短縮されることが確認されています。
また、肝臓の炎症などによって肝臓の血流が悪化すると、肝臓に近い位置にある脾臓の血流が増加して脾臓が肥大し、赤血球の破壊が促進されることが知られています。
赤血球の寿命が短くなって脾臓での破壊が促進されると、体内の赤血球が不足して貧血が起こります。赤血球の寿命を正常に保つためにも、感染症などによる身体の炎症を防ぐことが大切です。
高麗人参は炎症を抑制する
高麗人参には、炎症を抑制する働きのある成分が豊富に含まれています。高麗人参は炎症を抑制して、慢性的な炎症が原因で起こる貧血症状の予防・改善に役立ちます。
・抗炎症作用をもつ成分が含まれている
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには数多くの種類があり、それぞれが特徴的な作用をもっています。そのうちジンセノサイドRh1・CK・PPT・Roには、炎症を抑制する抗炎症作用があることが確認されています。
また、亜鉛にも炎症を抑制する作用があり、亜鉛不足の状態では感染症の炎症が悪化することが、研究によって確認されています。
さらに、マグネシウムにも抗炎症作用があり、マグネシウムの摂取量が多いほど炎症性物質の血中濃度が低下するとの研究報告があります。
高麗人参はこれらの成分を身体に補い、炎症を抑制します。
・炎症の原因となる活性酸素を中和する
活性酸素は、ほかの物質を酸化する力が非常に強い酸素のことで、日々の呼吸によって体内で発生します。活性酸素は身体に必要な物質ですが、体内で過剰になると健康な細胞や組織にも酸化ストレス与えてしまい、細胞の老化や炎症の原因になります。
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、活性酸素を中和する強い抗酸化作用があります。また、同じく高麗人参に含まれるビタミンCにも抗酸化作用があります。
高麗人参は、これらの成分の働きによって体内の活性酸素を減少させ、貧血の原因となる身体の炎症を抑制します。
高麗人参は免疫機能を調整して炎症を防ぐ
感染症を防ぐには、免疫機能を正常に保って細菌の感染や増殖を抑制することが重要です。
また、身体の免疫機能に異常が起こると、免疫機能が自分の特定の細胞を攻撃してしまう自己免疫反応が起こります。関節リウマチはこうした自己免疫が原因で起こり、炎症による貧血を引き起こします。こうした自己免疫反応を抑制するためにも、免疫機能を正常に保つことが重要です。
高麗人参には身体の免疫機能を正常な状態に修正する効果があり、感染症や自己免疫反応が原因で起こる炎症や貧血を抑制します。
・免疫機能は自律神経によって調整されている
自律神経は、内臓の機能や血圧、ホルモン分泌などの身体のあらゆる機能を24時間無意識のうちに調整している神経です。自律神経は、活動時や昼間に活発になる交感神経と、休息時や夜間に活発になる副交感神経に分けられ、両者がバランスをとりながら機能しています。
自律神経には、免疫機能を調整する役割もあります。このため、自律神経のバランスが乱れると免疫細胞のバランスが崩れ、免疫力の低下やアレルギーなどの免疫機能の異常が起こります。
・高麗人参は自律神経のバランスを正常化する
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには数多くの種類があり、神経の興奮を抑える作用のあるジオール系や、神経を刺激する作用のあるトリオール系などに分類されます。
ジオール系とトリオール系には相反する作用がありますが、これらは相殺されることなく体内で機能します。交感神経が過度に活発なときにはジオール系が強く作用して興奮を抑え、副交感神経が過度に優位なときにはトリオール系が交感神経を刺激してバランスを保ちます。
こうしたジンセノサイドの作用により、高麗人参は乱れた自律神経のバランスを正常な状態に修正します。
・高麗人参は免疫機能を調整する
自律神経のバランスが正常化されると、自律神経によって調整されている免疫機能の異常も修正されます。
免疫機能の異常によって起こる代表的な症状にアレルギー症状があります。免疫機能を正常化してアレルギーを予防・改善する高麗人参の効果は、研究でも確認されています。
免疫機能が自分の細胞を攻撃してしまう自己免疫反応に対する高麗人参の効果を確認した実験はまだありませんが、免疫機能を正常化する効果は自己免疫反応の抑制にも効果的と考えられています。
高麗人参は、免疫機能を正常に保つことによって、感染症や自己免疫反応が原因で起こる身体の炎症を抑制し、炎症が原因で起こる貧血の予防・改善に役立ちます。
・自己免疫反応が原因で悪性貧血が起こる場合がある
自己免疫反応による関節リウマチなどの炎症は、貧血の原因になります。また、自己免疫反応によって胃粘膜の萎縮が起こり、ビタミンB12の体内への吸収が阻害される場合があります。
ビタミンB12は赤血球の生成に不可欠な成分であり、ビタミンB12が不足すると鉄が十分にあっても正常な赤血球が生成されず、悪性貧血の原因になります。
免疫機能を正常化する高麗人参の効果は、自己免疫反応の抑制に役立ち、こうした悪性貧血の予防にも効果的と考えられています。
高麗人参の成分は免疫細胞の働きを活発にする
高麗人参には、免疫機能を調整する効果だけでなく、免疫細胞の働きを活発にする効果もあります。
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、主要な免疫細胞であるナチュラルキラー細胞の働きを活発にする作用があります。
また、同じく高麗人参に含まれるアルギニンやアルカロイドには、免疫細胞のマクロファージを活性化する作用があります。
こうした成分の働きにより、高麗人参は身体の免疫力を高めます。高麗人参は免疫力を高めて感染症を防ぎ、炎症が原因で起こる貧血の予防・改善に役立ちます。
まとめ
貧血の原因のひとつに、感染症や関節リウマチなどによる身体の炎症があります。炎症が起こると、赤血球の生成が阻害されるとともに、赤血球の破壊が促進されます。これにより血液中の赤血球が不足して、貧血症状が起こります。
高麗人参には炎症を抑制する成分が豊富に含まれています。また、免疫機能を調整する効果があり、免疫力を高めて感染症の予防に役立つほか、関節リウマチなどの原因となる自己免疫反応を抑制します。
高麗人参は、身体の炎症による貧血の予防・改善にとても効果的です。