高麗人参は胃腸の健康悪化による貧血を防ぐ
貧血はさまざまな原因で起こり、胃腸の健康悪化によって貧血が起こる場合があります。
高麗人参は古くから胃腸の健康増進に役立つ薬草として利用されており、胃腸の健康悪化による貧血の予防・改善に役立ちます。
胃腸の健康状態は貧血と深く関係している
胃腸は栄養素の消化・吸収を行う重要な臓器であり、赤血球の生成や貧血の発症とも深く関係しています。貧血を予防するためには、胃腸を健康に保つことが重要です。
胃腸は栄養素を消化・吸収する臓器
胃腸は、口から摂取した栄養素を消化・吸収する臓器です。胃腸の健康状態は、栄養素の吸収率に大きな影響を及ぼします。
赤血球の生成には、鉄をはじめとしたミネラル、ビタミン、アミノ酸といった数多くの栄養素が必要です。胃腸の健康状態が悪化すると、こうした栄養素の吸収率が低下してしまい、貧血が起こりやすくなります。
特に鉄の欠乏が貧血の原因としては最も多く、鉄の吸収率の向上は貧血予防にとても大切です。鉄の吸収率を上げるためにも、胃腸の健康状態を高く保つことが重要です。
胃腸からの出血が貧血を引き起こす
貧血は、赤血球の数が減少して血液の酸素運搬能力が低下する症状です。出血によって失われた赤血球が新しく生成される赤血球よりも多い状態が続くと、赤血球が不足して貧血症状が起こります。
少量の出血でも、長く続くと貧血が進行するケースは珍しくありません。胃潰瘍や潰瘍性大腸炎などによって胃腸から慢性的な出血が続くと、重い貧血症状が起こる場合があります。
鼻血や痔の出血のような大量出血はすぐにわかりますが、胃腸からの少量の出血は気づかない場合があります。こうした出血による貧血を防ぐためにも、普段から胃腸の健康に注意することが大切です。
腸内細菌は赤血球の生成に必要なビタミンをつくりだす
人間の腸には、9,000兆個もの腸内細菌が生息しているといわれています。腸内細菌には、毒素や有毒ガスを発生させる悪玉菌や、悪玉菌の増殖を防いで腸の働きを活発にする善玉菌などがあります。
腸内環境を整える善玉菌には、ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ビタミンK・葉酸・パントテン酸・ビオチンなどのビタミン類を生成する働きもあります。このうちビタミンB6・ビタミンB12・葉酸は、赤血球の生成に不可欠な成分です。これらのいずれかでも不足すると正常な赤血球が生成されず、貧血の原因になります。
腸内環境が悪化すると善玉菌が減少し、こうしたビタミンの生成が阻害されてしまいます。その結果、栄養素の不足による貧血症状が起こりやすくなります。
善玉菌によるビタミンの生成を促進するためにも、腸を健康にして腸内環境を整えることが重要です。
腸内細菌が鉄の吸収率を高める
貧血の予防・改善には、鉄の摂取がとても重要です。乳酸菌などの腸内細菌には鉄の体内への吸収率を高める働きがあることが、研究によって確認されています。
自然界では、鉄は水に溶けにくい形で存在しており、食物に含まれている鉄分も水に溶けにくい性質をもっています。体内に鉄を効率的に吸収するには、水に溶けやすい形に還元する必要があります。
東京工科大学の研究により、乳酸菌や酪酸菌などの腸内細菌には鉄を水に溶けやすい形に還元する働きがあり、鉄の体内への吸収を助けていることが明らかになっています。
腸が健康になって腸内環境が改善されると、鉄の吸収を補助する乳酸菌や酪酸菌などの善玉菌が増加します。腸内環境の改善は鉄の吸収率を向上させ、鉄不足による貧血を予防することにもつながります。
高麗人参は胃腸を健康にする
古くから万能薬として利用されてきた高麗人参には、胃腸の健康状態を向上させる効果があります。高麗人参は、胃腸の健康悪化による貧血の予防・改善にとても効果的です。
高麗人参は胃腸を健康にする薬草
高麗人参は、古くから胃腸の働きを補助する薬草として利用されてきました。約2000年前に記された中国最古の薬物書『神農本草経』には、高麗人参に「五臓を補う」効果があると記載されており、内臓の機能を補助する薬草として紹介されています。
また、東洋医学における高麗人参の効果をまとめた「高麗人参七効説」においても、高麗人参に「健脾止瀉(けんぴししゃ)」の効果があるとされています。「脾」とは胃腸のことで、健脾止瀉とは胃腸を健康にして下痢を止める効果のことです。
胃腸を健康にする高麗人参の効果は古くから認知され、広く利用されてきました。
血行を促進して胃腸の働きを活発にする
食べ物の消化・吸収には、大量の血液が必要です。食事をとると眠くなるのは、胃腸に血液が集中して脳の血流量が減少するためです。血行は、胃腸の健康にとても重要です。
胃腸の血行悪化は消化不良を引き起こし、胃腸炎の原因になります。また、胃腸の血行が促進されると胃粘膜の新陳代謝が活発になり、胃腸炎や潰瘍の症状の回復が早まります。
・高麗人参は血管を拡張する
高麗人参に豊富に含まれるアルギニンは、体内で一酸化窒素を生成する材料になります。一酸化窒素は、血管周辺の筋肉を弛緩させて血管を拡張するシグナルとして機能する物質です。アルギニンには血管を拡張する高い効果があります。
また、アミノ酸のグリシンとミネラルのマグネシウムにも血管を広げる作用があります。
高麗人参はこうした成分の働きによって、血流をスムーズにします。
・高麗人参は血液をサラサラにする
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、血液中の脂質を減少させる作用があります。また、タンパク質分解酵素のプラスミンの働きを活発にして、血液を固まりにくくする作用もあります。
さらに、アルギニンには成長ホルモンの分泌量を増やす作用があります。成長ホルモンには脂質の代謝を促進する働きがあり、血液中の脂質を減少させて血液をサラサラにします。
このように、高麗人参には血行を促進する高い効果があります。高麗人参は血行を促進して胃腸の健康状態を高め、胃腸の健康悪化による貧血症状の予防・改善に役立ちます。
自律神経を整えて胃腸を健康に保つ
胃腸の機能は、自律神経の働きによって調整されています。ストレスなどによって自律神経が乱れると、胃痛や胃もたれ、便秘や下痢などの胃腸の不調が起こります。また、自律神経の乱れが続くと、血行不良による胃腸の機能低下が起こり、貧血が起こりやすくなるほか、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの発症リスクが高まります。
・自律神経は胃腸の機能を調整している神経
自律神経は、内臓の機能や血圧、ホルモンの分泌などの身体のあらゆる機能を24時間無意識のうちに調整している神経です。自律神経は、活動時や昼間に活発になる交感神経と、休息時や夜間に活発になる副交感神経に分けられ、両者がバランスをとりながら機能しています。
消化・吸収を行う胃腸の機能は、自律神経によって調整されています。自律神経が乱れると胃腸の働きに大きな悪影響が及び、胃腸の健康悪化による貧血が起こりやすくなります。
・ジンセノサイドが自律神経を整える
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには多くの種類があり、神経を刺激するトリオール系や、神経の興奮を抑制するジオール系などに分類されます。
トリオール系とジオール系には全く逆の作用がありますが、これらは相殺されることなく体内で機能します。交感神経が過度に活発なときにはジオール系が強く作用して興奮を抑え、副交感神経が過度に優位な場合はトリオール系が交感神経を刺激してバランスを保ちます。
こうしたジンセノサイドの働きにより、高麗人参は乱れた自律神経を正常な状態に修正します。高麗人参は自律神経を整えることで胃腸の機能を正常に保ち、胃腸の健康悪化による貧血を防ぎます。
ストレスを軽減して胃腸の健康悪化を防ぐ
ストレスは、自律神経の交感神経を強く刺激して自律神経の乱れを引き起こします。
胃腸は特にストレスに弱く、ストレスによって発生する胃腸の不調には、便秘や下痢、神経性胃炎や過敏性腸症候群などがあります。また、ストレスは粘膜の状態を悪化させ、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍などのリスクを高めます。
・高麗人参はストレスを軽減する薬草
高麗人参は古くから精神を安定させる薬草として利用され、ストレスを軽減する高い効果があります。約2000年前に記された中国最古の薬物書『神農本草経』には、高麗人参に「精神を安んじ、魂魄を定める」効果があると記載されています。
また、東洋医学における高麗人参の効果をまとめた「高麗人参七効説」においても、高麗人参にストレスを軽減する「養心安神(ようしんあんしん)」の効果があるとされています。
さらに、高麗人参は代表的なアダプトゲンとして知られています。アダプトゲンとは、心身のストレスを軽減して、標準値から外れた身体の機能を正常な状態に修正する作用のある薬草のことです。
高麗人参は、ストレスを軽減する薬草として知られています。
・ストレス軽減効果が研究でも確認されている
高麗人参のストレス軽減効果は研究でも確認されており、高麗人参にストレスに対する抵抗力を高める効果があるとする研究報告が、ロシアとブルガリアの研究機関によって行われています。
また、高麗人参にストレスによる胃腸炎を予防・改善する効果があることが、複数の動物実験によって確認されています。
このように、高麗人参にはストレスを軽減する高い効果があります。高麗人参はストレスを軽減して、貧血の原因となる胃腸の健康悪化や腸内環境の悪化を防ぎます。
胃腸の炎症を抑制する
胃腸の炎症は、赤血球の生成に必要な栄養素の消化・吸収を妨げます。また、炎症が進行すると胃潰瘍や潰瘍性大腸炎などによる出血を引き起こし、赤血球の不足による貧血の原因になります。
・抗炎症作用をもつ成分が含まれている
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには多くの種類があり、そのうちジンセノサイドCK・Rh1・PPT・Roには炎症を抑制する抗炎症作用があることが確認されています。
また、亜鉛にも炎症を抑制する作用があることが、複数の研究で確認されています。
さらに、マグネシウムにも抗炎症作用があり、マグネシウムの摂取量が多いほど血液中の炎症性の物質の濃度が低くなるという研究報告があります。
高麗人参はこれらの成分の働きによって、胃腸の炎症を抑制します。
・炎症の原因となる活性酸素を中和する
活性酸素は、ほかの物質を酸化する力が非常に強い酸素のことで、日々の呼吸によって体内で発生します。活性酸素はウイルスの処理などに使用される身体に不可欠な物質ですが、増えすぎると健康な細胞にまで酸化ストレスを与えてしまい、炎症の原因になります。
高麗人参に含まれるジンセノサイドとビタミンCには、活性酸素を中和する強い抗酸化作用があります。高麗人参は炎症の原因となる活性酸素を減少させることで、胃腸の炎症を抑制します。
以上のように、高麗人参には胃腸の健康状態を向上させる高い効果があります。こうした効果により、高麗人参は赤血球の生成に必要な栄養素の吸収率を高めるとともに、貧血の原因となる胃腸からの出血を防ぎます。
高麗人参は、胃腸の健康悪化による貧血の予防・改善にとても効果的です。
まとめ
胃腸の健康状態は、貧血と深く関係しています。胃腸の健康状態が悪化すると、胃腸からの出血による貧血の原因になるほか、赤血球の生成に必要な栄養素の不足が起こりやすくなります。
古くから万能薬として利用されてきた高麗人参には胃腸を健康にする高い効果があり、胃腸の健康悪化による貧血の予防・改善に役立ちます。
胃腸の出血や胃腸の健康悪化による栄養素の不足は自覚症状があまりなく、気づかないうちに貧血が進行している場合があります。胃腸が原因で起こる貧血を予防・改善するために、高麗人参を日々の生活に取り入れてみることをお勧めします。