貧血の予防・改善に効果的な高麗人参
貧血は、酸素を供給する働きをもつ血液中の赤血球や、赤血球を構成するヘモグロビンが減少して、身体が酸素不足に陥る症状です。貧血は、めまいや倦怠感を引き起こして生活の質を大きく低下させます。
高麗人参は古くから造血作用のある薬草として利用され、赤血球を増やす高い効果があります。貧血の予防・改善に役立つ高麗人参の効果について解説します。
さまざまな原因で起こる貧血に効果的な高麗人参
貧血を引き起こす赤血球やヘモグロビンの減少は、栄養素の不足や内臓機能の低下などのさまざまな原因で起こります。
古くから万能薬として利用されてきた高麗人参には数多くの効果があり、こうした多くの原因で起こる貧血の予防・改善に役立ちます。
鉄などの栄養素の不足
鉄は、赤血球を構成するヘモグロビンの材料です。鉄の不足が貧血の最も多い原因であり、鉄欠乏性貧血と呼ばれます。
また、赤血球の生成には、ビタミン・ミネラル・アミノ酸などの鉄以外の栄養素も必要です。これらの栄養素が不足すると赤血球の生成が滞り、貧血の原因になります。
高麗人参には赤血球の生成に必要な栄養素が豊富に含まれており、赤血球の生成を促進します。高麗人参は、鉄などの栄養素の不足が原因で起こる貧血の予防・改善にとても効果的です。
肝臓や腎臓の機能低下
赤血球の生成には、肝臓や腎臓の機能が深く関わっています。
赤血球の生成には鉄やビタミンが必要ですが、こうした栄養素は肝臓に貯蔵されていて、肝臓の働きによって血液に供給されます。また、腎臓には赤血球の生成に必要なホルモンを分泌する役割があります。このため、炎症などによって肝臓や腎臓の機能が低下すると、赤血球の生成が阻害されて貧血の原因になります。
高麗人参は、古くから内臓を健康にする薬草として利用されており、肝臓や腎臓の機能を向上させる効果があります。高麗人参は肝臓や腎臓を健康に保ち、内臓機能の低下による貧血を防ぎます。
胃腸の健康悪化
胃腸の健康状態も、貧血と深く関係しています。
少量の出血でも、長く続くと貧血が進行するケースは珍しくありません。胃潰瘍や潰瘍性大腸炎などによる慢性的な胃腸からの出血は、貧血の原因になります。
また、赤血球の生成にはミネラル・ビタミン・アミノ酸などの数多くの栄養素が必要です。胃腸の状態が悪化すると、こうした栄養素の吸収率が低下して、栄養素の不足による貧血が起こりやすくなります。
高麗人参は、古くから胃腸の健康増進に効果的な薬草として利用されてきました。高麗人参には胃腸を健康にする高い効果があり、胃腸の健康悪化が原因で起こる貧血の予防・改善に役立ちます。
感染症や関節リウマチなどによる炎症
感染症や関節リウマチなどによって身体の組織に炎症が起こると、血液中に炎症性の物質が多く放出されます。こうした炎症性の物質は、骨髄で行われる赤血球の生成を阻害して貧血を引き起こします。
高麗人参には、炎症を抑制する成分が含まれているほか、免疫機能を調整して感染症のリスクを低下させる効果があります。高麗人参は、身体の炎症による貧血の予防・改善に効果的です。
ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンのバランスが乱れると、出血量の多い過多月経や、生理周期が短くなる頻発月経が発生しやすくなります。こうした生理不順は赤血球の不足を招き、貧血の原因になります。
また、赤血球の生成にもホルモンの働きが関係しており、ホルモンの分泌異常は赤血球の生成を阻害して貧血の原因になります。
高麗人参にはホルモンバランスを整える高い効果があり、ホルモンバランスの乱れによる貧血を防ぎます。
高麗人参は、こうしたさまざまな原因で起こる貧血に対してとても効果的です。
高麗人参は造血作用のある薬草
・貧血を改善する効果が古くから利用されてきた
高麗人参は、古くから造血作用のある薬草として珍重されてきました。
東洋医学における高麗人参の効果をまとめた「高麗人参七効説」では、高麗人参に「益血復脈(えきけつふくみゃく)」の効果があるとされています。益血復脈とは、造血を促して血液の流れを正常にし、血圧や脈拍を安定させる効果のことです。
赤血球を増やして貧血を改善する高麗人参の効果は古くから認知され、広く利用されてきました。
・高麗人参は貧血に効果的な漢方薬
現在でも高麗人参は代表的な漢方薬であり、主に「補気薬」の材料として広く利用されています。「気」とは、やる気や元気の「気」であり、補気薬は身体に活力を補う漢方薬のことです。補気薬は貧血症状に対しても盛んに用いられています。
貧血症状に対して使用される漢方薬には、倦怠感や貧血に効果的な「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」、虚弱体質による貧血や不眠症に効く「加味帰脾湯(かみきひとう)」、体力低下や身体の冷えに効果的な「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」などがあります。
また、胃腸虚弱や疲労、食欲不振に効く「四君子湯(しくんしとう)」や「六君子湯(りっくんしとう)」が用いられる場合もあります。
高麗人参は、これらの材料として利用されています。こうした貧血に役立つ漢方薬に広く利用されていることからも、高麗人参に貧血に対する高い効果があることが分かります。
貧血に対する効果が研究で確認されている
以上のように、高麗人参には赤血球の生成を促して貧血の予防・改善に役立つ効果があります。こうした高麗人参の効果は、研究でも確認されています。
・高麗人参は骨髄の細胞分裂を活発にする
赤血球は、骨髄の造血幹細胞が分化することで生成されます。高麗人参の成分が、この幹細胞のDNA合成とタンパク質合成を促進して、細胞の分裂率を約2倍に高めたとする千葉大学医学部の研究報告があります。
高麗人参は赤血球のもととなる細胞の分裂を促し、赤血球の生成を促進することが、この研究で明らかになっています。
・高麗人参はさまざまな原因で起こる貧血に効果的
大阪大学と近畿大学の臨床研究において、さまざまな原因による貧血患者に対して高麗人参を投与する実験が行われました。その結果、赤血球の数やヘモグロビンの量が増加する有効例が多く認められ、肝臓疾患・糖尿病・胃腸疾患・肺結核による貧血症状をもつ患者38名中、14名が回復したことが報告されています。
また、各種貧血治療剤の効果がなかった貧血患者51名に対して高麗人参を投与したところ、関節リウマチや結核が原因で起こった貧血や老人性貧血に対して効果的だったことが報告されています。
さらに、富山県立中央病院の研究においても、胃を切除した後の難治性貧血や鉄欠乏性貧血に対する高麗人参の有効性が報告されています。
・高麗人参を使った漢方薬の研究も行われている
貧血に対して使用される代表的な漢方薬に「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」があります。その名の通り、この漢方薬には高麗人参が材料として使用されています。
この人参養栄湯の貧血に対する効果の研究も多数行われており、鉄欠乏性貧血や肝臓がんによる貧血、赤血球を生成する骨髄の機能低下による貧血などの各種貧血に対して高い改善効果をもつことが確認されています。
こうした多くの研究からも、さまざまな原因で起こる貧血に対して高麗人参が効果的なことが確認されています。
高麗人参は続けることが大事
貧血の予防・改善に役立つ高麗人参の効果についてご紹介してきました。高麗人参には赤血球を増やして貧血を防ぐ高い効果がありますが、飲んですぐに貧血が起こらなくなるわけではありません。
貧血に対する高麗人参の主な効果は、赤血球の生成促進や内臓の機能向上によって、貧血が起こりにくい身体へと体質を改善する効果です。こうした体質改善は、短期間で行えるものではありません。
高麗人参によって体質が改善され、効果が実感できるまで赤血球が増加するには、ある程度の期間が必要です。このため、高麗人参の効果を十分に得るためには、短期間の摂取で効果が実感できなくても摂取を止めてしまわずに、長期間摂取を継続することが重要です。
まとめ
貧血は、鉄分を中心とした栄養素の不足や、内臓の機能低下、身体の炎症などのさまざまな原因によって起こります。古くから万能薬として利用されてきた高麗人参には、赤血球の生成に役立つ栄養素が豊富に含まれています。また、内臓を健康にする効果や身体の炎症を抑制する効果などの多くの健康効果があり、貧血が起こりにくい身体へと体質を改善します。
つらい貧血症状を改善して、いきいきとした毎日を送るために、高麗人参を日々の生活に取り入れてみることをお勧めします。