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漢方薬としての高麗人参

高麗人参は「漢方の王様」とも呼ばれ、漢方薬の定番といえる生薬です。
漢方医学は西洋医学とは異なり、不調が起こっている身体の一部分だけではなく、身体全体の状態を総合的にみて治療を行います。代表的な漢方薬である高麗人参にも、身体全体の調子を整える効果があります。
古くから漢方薬として利用されてきた高麗人参の歴史や効果、摂取方法や注意点などについて解説します。

高麗人参は古くからの漢方薬

漢方医学は、飛鳥時代以降に日本に伝来した伝統中国医学を参考に、日本で独自に発展した伝統医学です。漢方薬は漢方医学において処方される薬で、高麗人参は代表的な漢方薬の原料のひとつです。
高麗人参には、中国や日本で古くから薬として利用されてきた歴史があります。

中国では古代から薬として利用された

漢方医学に大きな影響を与えた伝統中国医学において、高麗人参は貴重な薬として利用されてきました。
中国では、高麗人参は古くから不老長寿の効果がある霊薬とされ、秦の始皇帝や世界三大美人の一人である楊貴妃が飲用したと伝えられています。

約2000年前に記された中国最古の薬物書である『神農本草経』には、高麗人参についての記載があります。この書物では、内臓全体の働きを補助する効果や精神を安定させる効果がある養命薬として、高麗人参が紹介されています。
この後に記された伝統中国医学の数々の医学書においても、高麗人参が代表的な薬として記載されています。高麗人参は古代から現在に至るまで、効果の高い薬草として珍重されてきました。

日本でも江戸時代に漢方薬として流行

高麗人参は、日本には奈良時代に伝来しました。日本には高麗人参が自生しておらず、江戸時代に栽培が可能になるまで、長らく朝鮮半島からの輸入品が利用されていました。

江戸時代になって江戸市中を中心に高麗人参が大流行し、効果の高い漢方薬として需要が高まりました。高麗人参の輸入で大量の銀が海外に流出しているのを重くみた江戸幕府は、高麗人参の栽培法の研究を行い、第8代将軍徳川吉宗の時代に国内での栽培に成功します。
これ以降、日本での高麗人参の栽培が盛んに行われるようになりました。漢方薬としての高麗人参の利用は、江戸時代に最盛期を迎えます。

明治時代に入ると、日本でも西洋医学が一般化し、高麗人参の需要や生産が大きく減少しました。
近年、健康志向の高まりや、東洋医学が見直されてきたことにより、漢方薬としての高麗人参の需要が再び高まっています。

漢方薬と西洋薬・民間薬の違い

漢方医学と西洋医学では、治療の考え方に大きな違いがあり、使用される薬の効果も異なります。

漢方医学と西洋医学の違い

西洋医学は、病気がある身体の部分や症状を重視します。身体のどの部分に障害があるのかを特定して、その部分を取り除くか改善しようとするのが西洋医学の考え方です。
西洋医学は客観的で、科学的に分析された手法や薬が用いられ、病気に対してピンポイントに治療が行われます。また、同じ病気の人には画一的な治療法が用いられます。

それに対して、漢方医学の特徴は身体全体の状態を重視するところにあります。患者の体質や状態をあらわす「証(しょう)」という概念があり、漢方医学では個人の体質に合わせた治療が行われます。こうした治療で身体全体の調子が整うことで、結果的に病気などの症状が改善します。
漢方医学では、西洋医学と異なり、先人の知識や経験に基づいた治療や処方が行われます。そのため、原因が特定できない不調の症状や、病気に向かいつつある「未病」の状態といった西洋医学が苦手とする症状の改善にも効果的です。
また、個人の体質などによって治療法が変わるため、同じ病気であっても異なる治療法が用いられる場合があります。

漢方薬と西洋薬の違い

西洋医学で用いられる薬は、主に化学合成によってつくられ、純粋な特定の成分が配合されています。このため、西洋薬は単一の症状に直接的に作用して、即効性があります。その一方で、強い効果があるため副作用にも十分な注意が必要です。

これに対して漢方薬には、自然由来の複数の生薬が配合されています。即効性のある漢方薬もありますが、西洋薬に比べると穏やかに作用する傾向があります。複数の生薬がバランス良く作用するため、漢方薬は複数の症状にも効果が期待できます。

このような特徴があるため、西洋薬と漢方薬はそれぞれ得意分野が異なります。細菌を殺したり、短期的に血圧を下げたりするのは、西洋薬の方が適しています。それに対して漢方薬は、長期的な身体の健康維持や、検査に表れにくい不調の症状の改善に効果的です。

漢方薬と民間薬の違い

植物起源の生薬が用いられる民間薬には、お腹の調子が悪いときに用いられるセンブリや、切り傷などに使われるアロエなどがあります。生薬を使う点で漢方薬と民間薬は似ており、混同されることも多いですが、漢方薬と民間薬は異なるものです。

漢方薬は一部の処方を除いて、複数の生薬を組み合わせて用いられます。また、身体全体の調子を整えるために、東洋医学の理論に基づいて処方されます。
これに対して民間薬は、単品の生薬が用いられることが多く、ひとつの症状を改善するために利用されます。民間薬には学術的な根拠のないものも含まれており、経験的な民間伝承に従って用いられています。

古くからの伝統中国医学や漢方医学の理論に基づいて利用され、さまざまな種類の漢方処方に用いられる高麗人参は、代表的な漢方薬です。

漢方薬としての高麗人参の効果

古くから、高麗人参は数多くの効果がある薬として珍重されてきました。伝統中国医学や漢方医学における高麗人参の効果をご紹介します。

「高麗人参七効説」

約2000年前に記された中国最古の薬物書である『神農本草経』には、最高ランクの「上薬」として高麗人参が記載されています。この『神農本草経』などの書物に記された高麗人参の薬効を、後世になってわかりやすくまとめたものが「高麗人参七効説」です。
漢方医学に大きな影響を与えた伝統中国医学では、高麗人参には以下の7つの効果があるとされています。

養心安神(ようしんあんしん)

神経の働きを助けて、精神を安定させる効果です。うつ症状や自律神経失調症、不眠症状や動悸の改善に役立つとされています。
現代の研究でもストレスを軽減する高麗人参の効果が確認されており、高麗人参がもつ「養心安神」の効果が裏付けられています。

益血復脈(えきけつふくみゃく)

造血を促して、血液の流れを正常にする効果です。心臓の負担を軽減して、血圧や脈拍を安定させます。
高麗人参には血行を促進する効果があり、高血圧・低血圧・貧血・冷え性・肩こりなど、血液の流れに関係する多くの症状に効果的なことが確認されています。

生津止渇(せいしんしかつ)

「生津止渇」は、身体に水分を保持して渇きを抑える効果や、内分泌機能を正常に保ってホルモンの分泌を促す効果を意味します。
高麗人参には身体の余計な水分を排出するカリウムが含まれており、身体の水分量を調節する働きがあることも分かっています。また、血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌を促進するため、高麗人参は糖尿病の予防・改善にも役立ちます。

補気救脱(ほききゅうだつ)

「気」とは活力のことで、「補気救脱」は身体に活力を補って虚脱した状態を改善する効果です。疲労を回復する効果や、老化を抑制する効果を意味し、高麗人参がもつ高い滋養強壮効果を表しています。

身体の老化を促進する物質として、活性酸素が知られています。活性酸素は日々の呼吸によって体内で発生し、ほかの物質を酸化させる作用をもっています。
高麗人参には、この活性酸素を中和する強い抗酸化作用をもつ成分が含まれており、活性酸素による身体の老化を抑制します。
古くから伝えられている高麗人参の効果は、科学的にも確認されています。

健脾止瀉(けんぴししゃ)

止瀉は下痢止めのことです。高麗人参には弱った内臓を健康にする働きがあり、消化不良・食欲不振・便秘・下痢などの予防・改善に効果的です。

また、高麗人参には胃潰瘍の予防や治療に役立つ効果や、胃がんの原因となるピロリ菌の除菌率を高める効果があることも、研究によって明らかになっています。

托毒合瘡(たくどくがっそう)

「托毒合瘡」は毒素を排出して、皮膚の回復を助ける効果です。「瘡」は皮膚の傷やできものを意味します。高麗人参は古くから皮膚炎や皮膚の化膿などの治療に用いられてきました。

高麗人参には血行を促進する効果があることが、現代の研究でも確認されています。血行が促進されると、老廃物の体外への排出が促進されます。高麗人参は老廃物の体外への排出を助けて、皮膚の新陳代謝を活発にします。

補肺定喘(ほはいていぜん)

「補肺定喘」は、肺の機能を助けて咳を止める効果です。高麗人参は古くから、咳や痰などの呼吸器に関する症状に効果的とされてきました。

高麗人参に含まれる成分には免疫細胞の働きを活性化する作用があります。高麗人参は免疫力を高めて、咳などの原因となる風邪や細菌の感染を防ぎます。
また、高麗人参の有効成分には抗アレルギー作用や抗炎症作用があります。高麗人参は、咳の原因となるアレルギーや気管支の炎症を予防します。

「気・血・水」のバランスを整える

漢方医学では、「気・血・水」の3要素が人の身体を構成しており、これらのバランスが維持されることで人の健康が保たれると考えられています。逆に「気・血・水」のいずれかが不足したり偏ったりすると、身体の不調や病気の原因になるとされています。
高麗人参は、「気・血・水」のバランス維持にとても効果的です。

高麗人参は「気」を補う

「気」とは目に見えない生命のエネルギーのことです。元気や気力などの「気」を意味します。高麗人参は身体に気を補う「補気薬」の代表例とされています。

漢方において、気が不足した状態は「気虚(ききょ)」と呼ばれます。気虚の主な症状としては、疲労感や免疫力の低下、身体の冷え、下痢、息切れなどが挙げられます。
高麗人参は古くから疲労回復にとても効果的とされ、免疫力を高める効果があることも研究で確認されています。身体の血行を促進する効果や胃腸を健康にする効果もあり、高麗人参は気虚の症状改善にとても効果的です。

また、気が身体をうまく巡らず、滞っている状態を「気滞(きたい)」といいます。気滞とは、自律神経のバランスが乱れた状態や、精神的なストレスでイライラしている状態をいい、精神不安や不眠、胃腸の不調、生理不順などが主な症状として挙げられます。
高麗人参には、ストレスを軽減する効果や自律神経のバランスを調整する効果があり、気滞の状態を改善します。高麗人参には神経の働きを補助するカルシウムやマグネシウムも含まれており、高麗人参には精神を安定させる高い効果があります。

このように、高麗人参は「気」を原因とする体調不良の改善にとても効果的です。

「血」を補う効果もある

漢方医学において気と同じく重要なのが、「血(けつ)」です。「血」は血液とその中に含まれる栄養素のことです。

血の量や栄養素が不足した状態を「血虚(けっきょ)」といいます。血虚の主な症状には、めまい・動悸・抜け毛・白髪・眼精疲労・肌荒れなどが挙げられます。
高麗人参には赤血球を増やす効果があることが、現代の研究でも確認されています。高麗人参の摂取によって赤血球が増えると、血液の酸素運搬能力が向上します。これにより、酸素不足によるめまいや動悸が改善されます。また、頭皮に十分な酸素が供給されるため、白髪や抜け毛の予防にも効果的です。

身体の血の巡りが悪くなることを、漢方では「?血(おけつ)」といいます。?血の状態では顔色が悪くなり、肩こり・頭痛・関節痛・生理不順などが起こります。
高麗人参には、血液中の脂質を減少させる作用のある成分が含まれています。このため、高麗人参を摂取すると血液がサラサラになります。また、血管を拡張する働きのあるアルギニンも含まれており、高麗人参には全身の血行を促進する高い効果があります。

高麗人参には造血作用や血行促進効果があり、「血」が原因で起こる身体の不調の改善に役立ちます。

「水」を改善する高麗人参

「水(すい)」とは、リンパ液や唾液などの身体の水分のことです。漢方医学では「気」や「血」と同じく、「水」は身体を構成する重要な要素です。

漢方では体内の水が不足している状態を「陰虚(いんきょ)」といいます。陰虚の主な症状として、身体のほてり・肌荒れ・目や口の乾き・便秘などが挙げられます。
高麗人参は伝統中国医学においても、水分を保持して渇きを抑える効果があるとされています。美肌効果や便秘を改善する効果もあり、高麗人参は陰虚の改善に効果的です。

また、体内の水のめぐりが悪い状態を「痰湿(たんしつ)」といいます。痰湿の状態では、肥満・むくみ・血液中の脂質の増加・倦怠感などが起こるとされます。
高麗人参には身体の脂質を減少させる成分が含まれており、肥満の改善や血液中の脂質の減少にとても効果的です。また、身体から余計な水分を排出する作用のあるカリウムが、高麗人参には含まれています。むくみの改善には肝臓の機能も重要で、高麗人参には肝臓の機能を高める働きもあります。
高麗人参は、痰湿の改善にも効果的です。

このように、高麗人参は漢方医学で重要とされる「気・血・水」のすべてに対して効果的です。高麗人参は「気・血・水」のバランス維持に役立ち、身体の健康を増進します。

高麗人参が使用されている漢方薬

高麗人参が含まれている漢方薬には、人参湯(にんじんとう)・人参養栄湯(にんじんようえいとう)・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・桂枝人参湯(けいしにんじんとう)など数多くの種類があります。名前についている「人参」が、高麗人参を意味しています。

これらの漢方薬には胃腸の働きを活性化する効果や、血の巡りを良くして身体を温める効果などがあります。これらは漢方薬を取り扱っている薬局などで購入できます。

漢方薬としての高麗人参の摂取方法

空腹時に飲む

漢方薬は、一般的に空腹時に飲むべきとされています。高麗人参が使われている漢方薬の場合も、食事の30分以上前か、食後2時間以上経過した空腹時に摂取しましょう。

空腹時に漢方薬を摂取するのは、有効成分の吸収率と関係しています。
空腹時には胃の中が強い酸性になっており、漢方薬の主な有効成分の消化・吸収が速やかに行われます。
また、漢方薬の材料となる生薬には、アルカロイドと呼ばれる植物由来の成分が含まれています。ニコチンやカフェインなどもアルカロイドの一種です。アルカロイドは強い生理作用をもった化合物で、アルカロイドの血中濃度が急激に上がると、身体に悪影響が及ぶ危険性が高まります。
アルカロイドは多くの場合アルカリ性を示し、胃の中が強い酸性になる空腹時には、アルカロイドの吸収が緩やかになります。このため、空腹時に摂取するとアルカロイドの効果を穏やかに効かせることができ、アルカロイドの悪影響のリスクを低下させることができます。

このように、漢方薬を空腹時に摂取すると、有効成分を速やかに吸収でき、効果の激しい成分の悪影響を防ぐことができます。高麗人参が使われている漢方薬は、なるべく空腹時に摂取するようにしましょう。

水またはぬるま湯で飲む

ほかの薬を飲む場合と同じく、漢方薬を飲む場合は、必ず「水またはぬるま湯」で飲むようにしてください。濃いお茶やジュース、牛乳などで飲むと、薬の吸収や作用に悪影響が出る場合があります。

漢方薬を飲むコツ

漢方薬をうまく飲むコツとしては、漢方薬を口に入れる前に、まず水を口に少し含みます。その水の上に漢方薬を落とすようにして口に入れ、その水と一緒に飲み込みます。その後で再度水を飲みます。
こうすることで口の中に残らず、漢方薬をうまく飲み込むことができます。

高麗人参を摂取する際の注意点

漢方医学など東洋医学においては、漢方薬を飲むと一時的に体調変化が起こる場合があるという考えが一般的です。高麗人参を飲み始めた場合にも、体調不良のような身体の変化が起こる場合があります。

こうした体調変化は「好転反応」や「瞑眩(めんけん)反応」と呼ばれます。好転反応は、身体が回復に向かう過程で起こる正常な反応で、心配する必要はありません。

高麗人参を摂取した際に稀に起こる好転反応の症状としては、動悸・倦怠感・胃腸の不調などがあります。これらの症状は、通常1-2週間程度でなくなります。症状が続くなど不安がある場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。

まとめ

高麗人参は「漢方の王様」とも呼ばれる代表的な漢方薬です。高麗人参には、東洋医学において古くから薬として用いられてきた歴史があります。東洋医学では身体全体の調子を整えることが重視され、高麗人参にも身体の機能を正常化する高い効果があります。
疲労感などの身体の不調を感じている人に、高麗人参は特にお勧めです。丈夫な身体を手に入れて活力ある毎日を送るために、高麗人参を日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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