認知症に効果的な高麗人参
高麗人参は、古くから万病に効く薬草として珍重されてきました。古代中国の薬物書には、多くの健康効果だけでなく、頭を良くする効果のある薬草として高麗人参が記載されています。脳の機能を向上させる高麗人参は、認知症に対しても効果的なことが研究で確認されています。高麗人参の認知症に対する効果について解説します。
高麗人参は三大認知症に効く
認知症患者の大半を占める三大認知症
認知症は脳の認知障害の一種で、脳の神経細胞が死んでしまうことによって脳の機能が低下する症状をいいます。
認知症のうち、半数以上がアルツハイマー型認知症で、次に多いのがレビー小体型認知症と脳血管性認知症です。これらは「三大認知症」と呼ばれ、認知症患者のほとんどを占めています。
古くから頭を良くする薬とされた高麗人参
高麗人参は、古くから記憶力や認知機能を高める薬草として珍重されてきました。約2000年前に記された中国最古の薬物書である『神農本草経』には、高麗人参に「智を益する」効果があると記載されています。
現代の研究でも、記憶力や集中力を高める効果や、三大認知症に対する高麗人参の効果が確認されています。
高齢化が進むなか、認知症になる人の割合が増加しています。高麗人参は三大認知症のすべてに対して効果的な成分を含んでおり、その効果が期待されています。
アルツハイマー型認知症に効く
アルツハイマー病は、脳細胞が死滅して脳が萎縮していく病気で、アルツハイマー型認知症はその症状のひとつです。アルツハイマー型認知症は、認知症患者における割合が最も大きく、全体の半数以上を占めています。
アルツハイマー型認知症の症状には、記憶障害や学習障害などがあります。重症になると食事や意思疎通もできなくなり、最終的には寝たきりになってしまいます。
高麗人参がアルツハイマー型認知症に対して効果的とする数々の研究報告があります。
アルツハイマー型認知症の主な原因はアミロイドβ
アルツハイマー病の原因は明確には特定されていませんが、アミロイドβと呼ばれる異常なタンパク質が脳内に蓄積することで発症するという説が、現在最も有力とされています。
脳内のアミロイドβの量が増えると、アミロイドβによって神経細胞が傷つけられ、神経細胞の変異や死滅が起こります。これにより、脳が萎縮して認知機能が低下します。
人間の身体にはアミロイドβなどの異常なタンパク質を処理する機能が備わっていますが、加齢によってその機能は低下します。このため、歳をとるとアミロイドβが蓄積しやすくなり、アルツハイマー型認知症の発症率が上がります。
高麗人参はアミロイドβから脳を守る
高麗人参に含まれる成分には、アミロイドβによる神経細胞の死滅を抑制する作用や、アミロイドβの増加を防ぐ作用があります。高麗人参はアルツハイマー型認知症の原因物質から脳を守ります。
アミロイドβから神経細胞を守る
アミロイドβが蓄積すると脳の神経細胞に異常が起こり、細胞が死滅してしまいます。
高麗人参の成分を投与すると、こうしたアミロイドβによる神経細胞の死滅が抑制されることが、千葉大学医学部などによる細胞実験において確認されています。
この実験により、高麗人参の成分にはアミロイドβの悪影響から脳を守る効果があることが明らかになっています。
ストレスを軽減してアミロイドβの増加を防ぐ
・ストレスはアミロイドβを増やす
東京大学とスタンフォード大学の共同研究において、神経細胞に刺激を与えたところ、刺激を与えなかった細胞に比べてアミロイドβが2.5倍に増えたとする実験報告があります。この実験により、ストレスなどによる神経細胞の興奮がアミロイドβを増加させることが明らかになっています。
・高麗人参はストレスを軽減する
高麗人参は、古くから精神を安定させてストレスを軽減する薬草として利用されてきました。
高麗人参の特有成分ジンセノサイドには数多くの種類があり、そのうちジオール系に分類されるジンセノサイドには神経の興奮を抑える作用があります。
また、高麗人参にはジンセノサイドをはじめ、カルシウム・マグネシウム・ビタミンB群・ビタミンCといったストレス軽減に役立つ栄養素が豊富に含まれています。
さらに、ストレスを軽減して身体の機能を正常に保つ薬草をアダプトゲンといい、高麗人参は代表的なアダプトゲンとされています。高麗人参はストレスを軽減する薬草として有名です。
高麗人参はストレスを軽減することで、アミロイドβを増加させる神経の興奮を抑制します。高麗人参はアルツハイマー型認知症の原因物質を抑制して、その進行を防ぎます。
睡眠を改善してアミロイドβを減らす
・十分な睡眠はアミロイドβを減らす
ワシントン大学などの研究チームは2009年にマウスを使った実験を行い、睡眠中に脳内のアミロイドβが減少し、目が覚めているときに増加することを明らかにしました。また、この研究では、睡眠時間が短いマウスはアミロイドβの蓄積量が多く、マウスに不眠症の改善薬を与えたところアミロイドβの蓄積が抑制されたことも報告されています。
十分な睡眠がアミロイドβの抑制に効果的なことが、この研究から明らかになっています。
・高麗人参は睡眠を改善する
高麗人参には、睡眠を改善する効果があります。
ストレスを感じると、ストレスに対抗するために副腎皮質刺激ホルモンのコルチコトロピンが分泌されます。このホルモンはストレスに対抗するために必要ですが、その一方で睡眠を阻害する作用があります。このため、強いストレスを感じていると睡眠の質が低下します。
高麗人参にはストレスを軽減する高い効果があり、コルチコトロピンの分泌を抑制します。高麗人参は睡眠を阻害するホルモンの分泌を抑制して、睡眠の質を高めます。
また、高麗人参にはアミノ酸のグリシンとセリンが含まれています。これらのアミノ酸には高い安眠効果があることが、実験で確認されています。
このように、高麗人参には質の良い睡眠を促す効果があります。高麗人参は睡眠を改善することでアミロイドβの蓄積を抑制し、アルツハイマー型認知症の進行を防ぎます。
高麗人参はアセチルコリンを増やす
アルツハイマー病の脳にはアセチルコリンが少ない
アルツハイマー型認知症の脳では、脳で働く神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンの量が大きく減少します。アセチルコリンには、人間の記憶や認知機能を司る海馬の機能を調節する働きがあります。このため、アセチルコリンの減少がアルツハイマー型認知症の原因のひとつとする説があります。
アセチルコリンを分解する酵素の働きを抑制して脳内のアセチルコリン濃度を高める薬が、認知症を抑制する薬として認可されています。認知症の抑制にアセチルコリンが重要なことが、このことからも分かります。
高麗人参はアセチルコリンの再利用を促す
高麗人参の成分のひとつジンセノサイドRb1にはアセチルコリンの再利用を促進する作用があり、脳内のアセチルコリン濃度を高めることが研究で確認されています。
高麗人参は、記憶力や認知機能に重要なアセチルコリンを増やすことで、アルツハイマー型認知症の進行を抑制します。
糖尿病を防いでアルツハイマー型認知症のリスクを減らす
糖尿病はアルツハイマー型認知症のリスクを高めることが、研究で明らかになっています。高麗人参は糖尿病の予防・改善に役立つため、糖尿病によるアルツハイマー型認知症の発症リスクを低下させます。
糖尿病はアルツハイマー型認知症のリスクを高める
近年の疫学研究によって、高齢者の糖尿病患者には合併症としてアルツハイマー型認知症を発症する人が多いことが明らかになっています。こうしたアルツハイマー型認知症の発症率を高める糖尿病の悪影響は、多くの症例を追跡調査した複数の研究で確認されています。
糖尿病はアミロイドβの蓄積を促進する
・糖尿病はインスリンの効き目を悪くする
糖尿病の予防・改善にはインスリンの働きが重要です。インスリンは血糖値を抑制する働きのあるホルモンで、すい臓から分泌されます。糖尿病が進行すると、インスリンの効き目が悪くなることが知られています。
・インスリンはアミロイドβの蓄積を防ぐ
インスリンは脳内のアミロイドβの蓄積にも影響しています。インスリンは細胞内からアミロイドβを遊離させて、アミロイドβの蓄積を抑制する作用があることが、動物実験によって確認されています。
・糖尿病は脳内のインスリン濃度を低下させる
糖尿病が進行してインスリンの効き目が悪くなると、インスリンの多くが血液中の糖の処理に回され、脳内のインスリン濃度が低下します。
こうした影響により、糖尿病の状態ではアミロイドβの蓄積が促進され、アルツハイマー型認知症が進行してしまいます。
糖尿病はアミロイドβの分解を妨げる
糖尿病によってインスリンの効き目が悪くなると、インスリンを分解する酵素の働きを抑制する物質が脂肪細胞から分泌されます。この物質は、体内のインスリン濃度を高めて効き目が悪くなったインスリンの働きを補うために分泌されます。
脳内から血液中に遊離したアミロイドβは、インスリン分解酵素の働きによって肝臓で分解されます。このため、体内のアミロイドβを減少させるには、インスリン分解酵素の働きが重要です。
しかし、糖尿病によってインスリンの効き目が悪くなると、インスリン分解酵素の働きを抑制する物質が分泌されて、アミロイドβの分解が阻害されます。このため、糖尿病は体内のアミロイドβの量を増加させます。
高麗人参は糖尿病に効果的
・糖尿病に効果的な成分が豊富
高麗人参には、糖尿病の予防・改善に効果的な成分が含まれています。
アミノ酸のアルギニンにはインスリンの分泌を促進する作用があり、血糖値を抑制します。
ビタミンB1は糖をエネルギーに変換するために必要な成分で、血糖値の過度な上昇を防ぎます。
マグネシウムには、糖の代謝に関わる酵素の働きを助ける作用があります。マグネシウムの摂取が糖尿病の予防に効果的とする研究報告もあります。
・ジンセノサイドの抗炎症作用も効果的
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、抗炎症作用があります。
糖尿病の進行には脂肪細胞の炎症が関係しており、脂肪細胞の炎症が進行するとインスリンの効き目が低下することが知られています。
ジンセノサイドは脂肪細胞の炎症を抑制して、インスリンの効き目を高く保ちます。
これらの成分の働きにより、高麗人参は血糖値の上昇を抑えて糖尿病の予防・改善に役立ちます。高麗人参は、糖尿病を防ぐことでアルツハイマー型認知症のリスクを低下させます。
アルツハイマー型認知症に対する効果は実験でも確認されている
アルツハイマー型認知症に対する高麗人参の効果は、実験でも確認されています。
・韓国の研究
韓国ソウル国立大学病院では、アルツハイマー病患者を2グループに分けて、片方に高麗人参を1日4.5g、12週間摂取させる実験が行われました。その結果、高麗人参を摂取したグループは、精神状態の検査やアルツハイマー病の評価尺度において改善がみられたことが報告されています。また、高麗人参の摂取を中止すると、検査結果が高麗人参を投与しなかったグループのレベルに戻ってしまったことも報告されています。
この実験結果から、高麗人参の継続的な摂取がアルツハイマー病の症状改善に効果的なことが示唆されています。
また、韓国ソウル医療センターの研究において、アルツハイマー病患者61名に対して高麗人参を1日4.5g、12週間摂取させたところ、症状の改善傾向がみられたとの実験報告があります。
・日本の研究
日本の研究でも、アルツハイマー型認知症に対する高麗人参の効果が確認されています。
福岡大学と民間企業の共同研究において、アルツハイマー型認知症を発症させたラットに対して高麗人参由来の成分を1週間摂取させ、迷路を使ってラットの空間記憶能力を調べる実験が行われました。その結果、高麗人参を摂取したラットは、摂取していないラットに比べて迷路を抜ける時間が短く、認知症による空間記憶障害に改善がみられたことが報告されています。
レビー小体型認知症にも効果的
レビー小体型認知症は三大認知症のひとつ
レビー小体型認知症は三大認知症のひとつとされ、認知症患者全体の約2割を占める疾患です。脳の広い範囲にレビー小体と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積して、脳の神経細胞が徐々に死滅していくことで起こります。
レビー小体型認知症の症状には、脳の認知機能が日によって大きく変動する症状や、実際に存在しないものが見える幻視症状、手の震えや身体の動きが鈍る運動障害の症状などがあります。
アミロイドβはレビー小体型認知症にも関与
2012年に発表された千葉大学医学部の研究によって、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβが、レビー小体型認知症における脳の萎縮にも関係していることが明らかになっています。この研究により、アミロイドβの蓄積を抑制することがレビー小体型認知症の予防や治療においても重要なことが示唆されています。
アルツハイマー型認知症の項目で解説した通り、高麗人参にはアミロイドβの増加や蓄積を抑制する効果があります。こうした高麗人参の効果は、レビー小体型認知症に対しても有効です。
アセチルコリンはレビー小体型認知症でも重要
レビー小体型認知症の治療においても、神経伝達物質であるアセチルコリンが重要と考えられています。このため、アセチルコリンの分解を防いで脳内のアセチルコリン濃度を高める薬が、レビー小体型認知症の治療薬として2014年に認可されています。
この薬は世界初のレビー小体型認知症の治療薬です。レビー小体型認知症は1990年代後半になってから認知された比較的新しい病気で、それまで治療薬が存在していませんでした。
高麗人参の成分ジンセノサイドRb1には、アセチルコリンの再利用を促して脳内のアセチルコリン濃度を高める効果があることが、研究で確認されています。こうした作用からも、高麗人参のレビー小体型認知症に対する効果が期待されています。
高麗人参の抗酸化作用が認知症を防ぐ
酸化ストレスは異常なタンパク質の処理を遅らせる
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は、アミロイドβなどの異常なタンパク質が脳に蓄積することで起こります。
人間の身体には、異常なタンパク質を処理する機能が備わっています。しかし、こうした機能は年齢とともに衰えるため、歳をとるとこれらの認知症が起こりやすくなります。
こうした異常なタンパク質を処理する機能の低下は、細胞の小器官であるミトコンドリアの酸化が原因で起こることが、2014年の京都大学の研究で明らかになっています。
また、この研究報告では、こうしたミトコンドリアの酸化を防ぐために、抗酸化作用をもつ成分の摂取が推奨されています。
活性酸素を中和して異常なタンパク質を処理する機能を守る
ミトコンドリアの酸化は、体内の活性酸素が原因で起こります。
活性酸素は、ほかの物質を酸化する力が非常に強い酸素のことで、日々の呼吸によって体内で発生します。活性酸素は病原菌の処理などに利用され、身体に不可欠な物質です。しかし、増えすぎると健康な細胞まで酸化してしまい、身体に悪影響を及ぼします。
高麗人参の有効成分ジンセノサイドには、活性酸素を中和する強い抗酸化作用があり、体内の活性酸素を減少させます。高麗人参は活性酸素を減らすことで異常なタンパク質を処理する身体の機能を守り、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症を防ぎます。
脳血管性認知症を防ぐ高麗人参
三大認知症のひとつに、脳血管性認知症があります。
脳血管性認知症は、脳の毛細血管が詰まったり破れたりすることで、小さな脳梗塞や脳出血が発生し、脳の神経細胞が死滅してしまうことで起こります。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血が起こった場所や障害の程度によって症状が異なり、認知機能の低下とともに手足の麻痺や感覚障害などが起こる場合があります。
高麗人参は、脳血管性認知症の予防にも効果的です。
脳血管性認知症の予防には血管の健康維持が重要
脳血管性認知症の予防には、脳の血管の健康を維持して脳梗塞や脳出血を防ぐことが何より重要です。
高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、血管の弾力を失わせて動脈硬化を引き起こします。動脈硬化が悪化すると脳の毛細血管が詰まりやすくなり、脳血管性認知症の原因になります。
高麗人参は血管の健康維持に役立つ
高麗人参には血管を健康に保つ効果があるため、脳血管性認知症の予防にとても効果的です。
ジンセノサイドは血栓を防ぐ
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、タンパク質分解酵素のプラスミンの働きを活性化する作用があります。プラスミンには血栓を溶かす作用があるため、高麗人参には脳梗塞の原因となる毛細血管の血栓を防ぐ効果があります。
ジンセノサイドは血液をサラサラにする
ジンセノサイドには、悪玉コレステロールや中性脂肪といった血液中の脂質を減少させる作用もあります。
動脈硬化を進行させる生活習慣病の脂質異常症は、血液中の脂質が基準値よりも多い症状のことです。高麗人参には血液中の脂質を減らして血液をサラサラにする効果があり、脳血管性認知症の原因となる脂質異常症の予防・改善に役立ちます。
高血圧を改善して血管を健康に保つ
高麗人参には高血圧を改善する効果もあります。高麗人参には血流をスムーズにする効果や、標準値から外れた身体の機能を正常な状態に戻す効果があり、高くなりすぎた血圧を低下させます。
高血圧に対する高麗人参の効果は実験でも確認されており、高血圧の被験者74名に対して高麗人参を摂取させたところ、半数以上の38名の血圧が低下したとの研究報告があります。
高麗人参は動脈硬化の原因となる高血圧を改善して、血管を健康に保ちます。
動脈硬化を引き起こす糖尿病を予防する
代表的な生活習慣病である糖尿病は、動脈硬化の主要な原因のひとつです。
高麗人参は糖尿病に効果的に記載の通り、高麗人参は糖尿病の予防・改善に効果的です。高麗人参は糖尿病を防いで血管を健康に保ち、脳血管性認知症を防ぎます。
脳血管性認知症に対する効果は実験でも確認されている
脳血管性認知症に対する高麗人参の効果は、ネズミを使った実験でも確認されています。
愛媛大学医学部の研究や中国の研究において、脳血管性認知症を発症させたネズミに対して高麗人参を投与したところ、神経細胞の死滅や学習能力の低下が抑制されたという実験結果が得られています。
脳に好影響を与える高麗人参の効果
以上のように、高麗人参は三大認知症のすべてに対して効果的です。
このほかにも、高麗人参には脳の働きを助ける効果があります。こうした効果は脳の働きを活発にするため、認知症の予防に効果的と考えられています。
ストレス軽減
ストレスは脳を萎縮させる
ストレスは脳に悪影響を与えます。高齢期にストレスなどによるうつ症状を発症した人は、認知症のリスクが約2倍になるという研究報告があります。ストレスは認知症の要因のひとつです。
強いストレスを受けると、副腎皮質ホルモンの一種コルチゾールが分泌されます。コルチゾールはストレスに対処するために必要ですが、血圧や血糖値を上昇させる効果があり、濃度が高い状態が長期間続くと身体に悪影響を及ぼします。
コルチゾールの悪影響のひとつに、脳の海馬の萎縮があります。海馬は記憶や認知機能を司る重要な部位です。ストレス状態が長期間続くと、過剰なコルチゾールによって海馬が萎縮し、記憶力や認知機能に悪影響がでます。
高麗人参はストレスを軽減して脳を守る
高麗人参にはストレスを軽減する効果があり、強いストレスによるコルチゾールの分泌を抑制します。コルチゾールを減らす効果は実験でも確認されており、高麗人参に含まれるジンセノサイドPPTにコルチゾールの過剰分泌を防ぐ作用があることが、岩手医科大学の研究で報告されています。
高麗人参はストレスを軽減することで、脳の萎縮を防ぎます。
脳の血行を促進する
脳の血行不良は認知症の原因になります。高麗人参には血行を促進する成分が豊富にふくまれており、脳の血行不良による認知症を防ぎます。
高麗人参は脳の血行を促進する
脳の血行が良くなると、脳に酸素と栄養素が十分に供給され、脳の活動が活発になります。脳の働きを調べる方法のひとつに脳の血流量の測定があり、このことからも脳の機能にとって血行が重要なことが分かります。
高麗人参には血行を促進する成分が豊富に含まれています。
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、血液中の脂質を減らす作用や血栓を防ぐ作用があり、血液をサラサラにします。
また、アミノ酸のアルギニンとグリシンには血管を拡張する作用があり、血流をスムーズにします。
さらに、マグネシウムには動脈を弛緩させて血管を拡張する作用があります。
こうした成分の働きにより、高麗人参は血行を促進します。高麗人参は脳の血行を促進することで、脳の働きを活発にします。
脳の血行不良は認知症を引き起こす
脳の慢性的な血行不良は、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の脳に共通してみられる症状です。このため、脳の血行不良は認知症の要因のひとつと考えられています。
京都大学の研究グループは、動脈に微小なコイルを装着して慢性的に脳の血流量を低下させたマウスを使って、認知障害の発生メカニズムを調査する研究を行いました。この研究では、脳の血流悪化によって脳の免疫細胞が過剰に活性化し、脳内の炎症が起こることが報告されています。また、この炎症の影響で神経細胞が集中している脳の白質部分が損傷し、認知機能に障害が起こることが確認されています。
こうした実験や患者の傾向により、脳の血行不良が認知症の原因となることが明らかになっています。
高麗人参には血行を促進する効果があります。高麗人参は脳の血行不良を防いで、認知症の発症リスクを低下させます。
神経の働きを助ける
高麗人参には、神経の働きを助ける成分が数多く含まれています。こうした成分は脳の機能を活発にして、認知症による脳機能の低下を防ぎます。
神経伝達物質の働きを助ける成分が豊富
認知症の脳では、神経伝達物質のアセチルコリンの量が減少しています。また、多くの場合、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の量にも減少傾向がみられます。
高麗人参にはアセチルコリンの体内濃度を高める作用があることが研究で確認されているほか、ノルアドレナリンの材料となるチロシンや、セロトニンの働きを助ける作用があるマグネシウムが含まれています。また、高麗人参に含まれているビタミンB6などのビタミンB群は、セロトニンなどの神経伝達物質の生成を促進します。
こうした神経伝達物質の働きを助ける成分が高麗人参には数多く含まれており、脳機能の活性化や認知症の予防に役立ちます。
ジンセノサイドは神経の働きを助ける
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには30以上の種類があり、その中には神経の働きを助ける作用をもつものがあります。
ジンセノサイドRb3には、神経細胞を保護する効果があり、神経細胞の損傷を防ぎます。
また、ジンセノサイドPPDには損傷した神経回路網を再構築する作用があります。
さらに、ジンセノサイドRk1、Rk3、Rg5、Rh4、Rf1には認知機能を改善する作用があり、アルツハイマー型認知症に対する効果が期待されています。
こうしたジンセノサイドの作用により、高麗人参は神経の働きを助けます。
まとめ
高麗人参は古くから頭を良くする薬草として知られており、認知症に対して効果的な成分が含まれています。主な認知症には、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症があり、これらは三大認知症と呼ばれます。高麗人参はこれら三大認知症のすべてに対して効果的なことが、大学などの研究によって明らかになっています。
平均寿命が長くなり、認知症を発症する人の割合が増えています。身体だけでなく脳の健康を保つためにも、高い認知症の予防効果をもつ高麗人参を日々の生活に取り入れてみることをお勧めします。