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高麗人参の自家栽培は可能か

高麗人参は、古くは自然に生えているものが採取されていました。しかし、その数が減少し、現在は流通している高麗人参のほぼすべてが栽培されたものです。高麗人参は、韓国や中国で主に生産され、日本でも長野県や福島県、島根県などで栽培されています。
高麗人参は購入すると比較的高額なので、家庭菜園などでの自家栽培に興味をもつ人もいるでしょう。果たして高麗人参の自家栽培は可能なのでしょうか。

高麗人参の栽培はとても難しい

現在、世界各地で高麗人参が栽培されており、高麗人参の自家栽培も不可能ではありません。しかし、高麗人参は栽培がとても難しい植物であり、自家栽培に挑戦する場合は、簡単に収穫できるものではないことを覚悟しておくべきです。

高麗人参は、少なくとも2000年以上前から貴重な薬草として珍重されていたことが、文献から確認されています。自然に生えている高麗人参が乱獲によって減少し、長い間栽培方法が研究されました。しかし、高麗人参の本場である朝鮮半島でも、栽培に成功したのは18世紀初頭のことです。

日本でも長い間、高麗人参の栽培が研究されました。
豊臣秀吉が朝鮮半島から高麗人参の種を持ち帰り、秀吉の家来であった黒田官兵衛や蒲生氏郷が栽培を試みました。しかし、両者の研究は失敗に終わります。
また、江戸幕府第3代将軍徳川家光は、苗を入手して苗からの栽培を試みますが、これも失敗に終わっています。
日本で高麗人参の栽培が成功したのは、江戸幕府第8代将軍徳川吉宗の時代である1729年のことです。

このような歴史からみても、高麗人参の栽培がとても難しいことが分かります。現在は栽培法が広まっていますが、それでも栽培には多くの困難が伴います。

高麗人参の栽培には時間がかかる

高麗人参は、育成にとても長い時間がかかります。この点も、高麗人参の自家栽培を難しくしています。

まず、高麗人参を植える前の土壌作りに通常1-3年かかります。また、高麗人参は4-6年間栽培されたものが収穫されます。さらに、収穫後の畑に次の苗を植えるには土地を休める必要があり、以前はこの休耕期間が10年以上必要とされていました。
現在は土地の消毒や、間にほかの作物を栽培することによって休耕期間を短縮できるようになりましたが、それでも数年は同じ場所で高麗人参を栽培できません。

高麗人参の栽培には、こうした長い年数が必要です。また、高麗人参は病気や虫に弱く、直射日光にも弱い性質があります。高麗人参を育成するには、長い栽培期間にわたって多くの手間がかかります。これを自家栽培で行うのは、不可能ではありませんが非常に困難です。

種や苗は販売されている

栽培がとても難しい高麗人参ですが、種や苗は販売されており、一般の人でも入手が可能です。
種苗店で高麗人参を取り扱っている店は多くないので、店に事前に問い合わせるか、確実に手に入る通信販売を利用するのがお勧めです。

高麗人参は夏に赤い実をつけます。これを採取して果肉を取り、高麗人参の種を取り出します。
高麗人参の種は保存が難しく、冷凍保存ができません。低温を維持しても時期が来れば発芽するか、発芽しないものは枯れて死んでしまいます。

高麗人参の種は、保存が難しく希少なため、10gあたり1,500円-2,000円程度の値段で販売されています。また、1-2年程度育成された高麗人参の苗も販売されており、1本500円以上の値段がします。どちらも安い買い物ではないので、栽培の難しさをよく考えた上で購入を検討してください。
種は通常、10-11月頃の秋に販売されます。売り切れてしまう場合も多いので、興味のある人は種を取り扱っている業者に問い合わせてみるのがお勧めです。

高麗人参に適した土壌

高麗人参は生育条件が厳しいことで知られ、栽培には何より育成に適した土壌作りが重要といわれます。

高麗人参の育成には、土壌の水はけの良さが重要です。高麗人参の自生地の多くは斜面の多い山林です。また、中国の白頭山付近や島根県の大根島などの産地は、水はけの良い火山灰質の土壌です。
高麗人参に適した土壌水分は50-60%といわれており、梅雨や雪の時期でもこの水分量が維持される必要があります。

また、高麗人参は、pH 4.5-5.8程度の弱酸性の土壌でよく育ちます。pH6.5以上では生理障害が生じて、うまく育ちません。土壌の状態には特に注意が必要です。

高麗人参に適した気候

高麗人参の自生地は比較的寒い地方にあり、こうした地域の緯度は日本の東北地方と同じくらいです。標高は200mから1,000m程度の地域が多く、やや寒冷で降水量が少ない地域での栽培が適しています。また、寒すぎてもうまく育ちません。
高麗人参の栽培に適した温度は、年平均0.9-13.8℃、夏の平均気温が20-25℃といわれます。降水量も年平均1,200mm前後が適しています。日本の年間降水量の平均は1,850mm程度です。

高麗人参の自生地は、直射日光が届きにくい山林や森の奥です。高麗人参は直射日光に弱いため、栽培する場合は日よけの設置が欠かせません。高麗人参は特に夕日に弱いとされるため、西日が当たらないように注意する必要があります。
高麗人参を自家栽培する場合は、こうした栽培条件を満たす必要があります。

高麗人参の栽培方法

高麗人参を栽培する方法をご紹介します。

土作り

高麗人参の栽培には、何より土作りが重要です。土作りには1-3年程度かかるといわれます。

土作りを行う際には、青草などの有機質を数回に分けて混ぜ、深さ45cm程度まで年に10回以上耕します。日中にしっかりと耕すことで土を日光で消毒し、土の中の害虫や病原菌を退治しておきます。高麗人参は病害や虫害に弱いので、こうした作業が重要です。
韓国では腐葉土を混ぜて耕し、長野県では骨粉や鶏糞などのミネラルの多い肥料が使われる場合もあります。事前にトウモロコシなどを育てておき、それを刈り取って肥料にする方法も行われます。
肥料が多すぎると病気のリスクが高まるため、肥料の量は控えめにします。また、高麗人参は化学肥料やアルカリ性の肥料に弱いため、これらは使用しません。

催芽処理

高麗人参は発芽させるのが難しい植物で、過去の栽培研究でも発芽が大きな問題でした。
高麗人参の発芽率を高めるには、発芽を促す「催芽処理」が必要です。この処理は「開匣(かいこう)処理」とも呼ばれます。

催芽処理の方法としては、川砂と高麗人参の種を3:7の割合で混ぜて鉢などに入れ、適宜水をやりながら涼しい日陰で100日程度貯蔵します。催芽処理の適温は10-15℃とされ、水分量が多すぎても少なすぎてもいけません。また、催芽処理に特殊な溶液が使用される場合もあります。
こうした処理は、通常7月から8月に開始されます。催芽処理を行うと種の表面にある割れ目が少し広がり、発芽しやすくなります。

種まき

高麗人参の種まきは、10-11月の秋か、3月頃の春に行われます。積雪が多い福島県や寒冷な韓国では、秋に種をまくのが一般的です。
種をまいたら種の上に3cm程度の土をかけ、ワラやビニールなどで覆います。4月頃から芽が出始めますが、高麗人参は直射日光に弱いため、日よけなどの準備が必要です。
催芽処理が行われていても、高麗人参の発芽率は低めです。

定植

育成した苗を本格的に育成する畑に植えかえることを定植といいます。韓国では春か秋に定植が行われ、丁寧に掘り起こした苗から良いものを選んで、広い畑に植えなおします。
定植を行わない場合も、弱い苗を間引いて健康な苗だけを残す作業が行われます。

定植する場合は、苗の角度が45度程度になるように植えます。角度をつけて植えることで、高麗人参の形や品質が良くなるといわれています。
種ではなく苗を購入して植える場合でも、こうした方法で畑に植えます。

育成・収穫

栽培を始めて3年目以降になると、高麗人参の有効成分であるジンセノサイドの含有量が徐々に増えてきます。通常、商品として流通している高麗人参は、4-6年間栽培されたものです。これより短い期間だと有効成分が少なく、7年以上育成しても有効成分があまり増えません。高麗人参の収穫は9月から10月の秋に行われます。
高麗人参は虫や病原菌に弱いため、虫の駆除や雑草の処理など、長い栽培期間中には多くの手間がかかります。

植木鉢やプランターなどでの栽培

植木鉢やプランターなどで高麗人参の自家栽培を行っている人もいます。
プランターなどで栽培する場合は、赤玉土と腐葉土を3:1の割合で混ぜた土が栽培に適しています。

高麗人参は生育過程で土の栄養を根こそぎ吸い取ってしまうといわれており、プランターなどでは土の栄養が足りなくなります。このため、大きく成長する前に枯れてしまうケースが多いです。
また、高麗人参の有効成分ジンセノサイドは、4年目以降の大きな根に多く含まれます。小さな植木鉢やプランターでは、有効成分を多く含んだ高麗人参の育成は難しいといわざるをえません。

高麗人参の自家栽培はハードルが高い

高麗人参は、発芽や生育の条件がとても厳しい植物です。有効成分が多く含まれる高麗人参を育てるには、土作りを含めて5-9年程度の年月が必要です。このため、栽培にはとても大きな労力と時間がかかります。
高麗人参の自家栽培は不可能ではありませんが、ハードルがとても高いです。高麗人参の栽培自体に興味がある場合は、困難を覚悟してから始めましょう。高麗人参の健康効果を得るのが目的の場合は、自家栽培の労力と時間は到底見合ったものではありません。その場合は、市販されているものを購入することをお勧めします。

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