高麗人参と紅参は何が違う?
高麗人参を使用した製品には、「紅参(こうじん・べにさん)」と書かれたものが多くあります。紅参とは何なのか、高麗人参と紅参は何が違うのか、疑問に感じる人も多いでしょう。高麗人参には加工法によっていくつかの種類があり、紅参はそのうちのひとつです。
紅参は加工された高麗人参
紅参は、特定の方法で加工された高麗人参のことです。
生の高麗人参の皮を剥かずにそのまま蒸すか煮た後、水分量が14%以下になるように乾燥させたものが紅参です。生の高麗人参は水分を多く含んで保存に向きませんが、紅参はしっかりと乾燥させてあるので長期保存が可能です。皮の色素によって赤みがかった外見をしているため、紅参と呼ばれます。
高麗人参は畑で育成された年数により、「1年根」から「6年根」に分類されます。一般的には4年根以上に成長してから収穫が行われ、長く育成された6年根には有効成分が最も多く含まれています。紅参として加工される高麗人参には、多くの場合6年根が使用されます。
高麗人参の皮には有効成分が豊富に含まれているため、皮付きのまま加工した紅参は高麗人参の中でも効果が高いとされています。加工の手間もかかるため、紅参は高麗人参の中でも高級品として扱われます。
また、紅参自体も品質によってランク付けが行われ、大きさや形状から「天」、「地」、「人(良)」などに分類されます。天に分類される紅参は最高級品です。
紅参以外の高麗人参の種類
白参
高麗人参には紅参以外の加工法もあり、「白参(はくじん・はくさん)」と呼ばれます。白参は高麗人参の皮を剥いて乾燥させたものです。乳白色の外見をしているため、白参と呼ばれます。比較的若い4年根が白参に加工されることが多く、有効成分が多く含まれる皮が剥かれているため、紅参よりも比較的安い値段で取引されています。
このほか、濃い砂糖水に漬けてから乾燥させる「糖参(とうじん)」と呼ばれる加工法もあり、白参に分類されます。
水参
紅参や白参のような乾燥加工を行っていない生の高麗人参は、「水参(すいじん)」と呼ばれます。水参も多く流通しており、主に料理や高麗人参酒などに利用されます。水参は水分を約70%含んでおり、長期保存には向きません。
紅参は有効成分が豊富
高麗人参の有効成分は、皮の部分に多く含まれています。皮付きのまま加工された紅参は有効成分を豊富に含み、高麗人参の健康効果を得るには最適です。
高麗人参の有効成分ジンセノサイド
高麗人参の健康効果をもたらす主要な成分に、ジンセノサイドと呼ばれるサポニンがあります。サポニンは配糖体と呼ばれる成分の一種で、植物の根・葉・茎などに含まれており、植物の苦味やえぐみのもとになる成分です。
大豆に含まれるサポニンは大豆サポニンと呼ばれ、高麗人参(英名:Ginseng、ジンセン)に含まれる特有のサポニンがジンセノサイドと呼ばれます。
ジンセノサイドは皮の周辺に最も多く含まれており、皮を剥かずに乾燥させた紅参には、ほかの加工法よりも多くのジンセノサイドが含まれています。
ジンセノサイドの特徴
ジンセノサイドには毒性がないことが確認されており、高麗人参は安心して摂取できます。
多くのサポニンは過剰に摂取すると健康に害があることで知られており、例えば、生薬である桔梗に含まれるサポニンは、過剰に摂取すると溶血作用や吐き気を引き起こします。高麗人参に含まれるジンセノサイドには、こうした心配がありません。
ジンセノサイドには30種類以上の種類があることが分かっています。これらは中枢神経を刺激するトリオール系、中枢神経の興奮を抑える作用があるジオール系、免疫機能を高める作用などがあるオレアノール系に大別されます。これらの成分がバランス良く身体に作用することで、高麗人参の健康効果や美容効果がもたらされます。
紅参に加工される過程でジンセノサイドの種類や量が増えることが、紅参の成分分析によって確認されています。このため、紅参には生の高麗人参である水参よりも多くのジンセノサイドが含まれています。
高麗人参の健康効果や美容効果を得るには、有効成分が多い紅参が最も適しています。
ジンセノサイドの効果
ジンセノサイドには、血行を促進して血管内に血栓ができにくくする作用があります。血行促進は冷え性や肩こりの改善につながるほか、肌の新陳代謝を活発にして美容にも役立ちます。血管が詰まりやすいと動脈硬化や心筋梗塞のリスクも高まるため、こうした疾患の予防にも高麗人参は効果的です。
また、ジンセノサイドには、細菌やウイルスから身体を守る免疫細胞の働きを活性化する作用があります。これにより身体の免疫機能が高まるため、高麗人参は風邪やインフルエンザの予防にも効果的とされています。
さらに、ジンセノサイドは神経の作用に深く関わり、自律神経のバランスを調整する働きがあります。ストレス対処に役立つ副腎皮質ホルモンの分泌を促す効果もあるため、高麗人参はストレス下での気力と集中力の維持や、ストレス軽減に役立ちます。
こうした高い健康効果をもたらすジンセノサイドは、皮つきのまま乾燥させた紅参に最も多く含まれています。これらの健康効果が目的の場合は、水参や白参ではなく紅参を購入するのがお勧めです。
紅参の利用法
紅参は、乾燥加工された紅参そのものが販売されているほか、サプリメントなどの健康食品にも使われています。
煎じて飲む
紅参の最も一般的な利用法は、煎じてお茶として飲む方法です。この方法は古くから行われており、紅参の有効成分を摂取するのに最も適しているといわれています。
煎じ方は、水1リットルにつき紅参を約20g入れ、弱火で1時間以上加熱します。ジンセノサイドなどのサポニンは泡立ちやすい性質があるため、ふきこぼれないよう注意が必要です。お好みで乾燥ナツメやショウガを加える煎じ方もあります。
煎じたお茶は、はちみつや砂糖をいれると飲みやすくなります。紅参は一度だけでなく、2-3回煎じて有効成分を煮出すことができます。
このほか、ホワイトリカーやブランデーに漬けて高麗人参酒をつくるのも、紅参の利用法として一般的です。
また、紅参を水で戻すと、生の高麗人参やほかの野菜のように料理に利用できます。
紅参を使ったサプリメント
高い健康効果をもつ紅参はサプリメントにも利用され、紅参を使った製品が数多く販売されています。こうした製品には、粉末状のものや、ペースト状、カプセル、錠剤などのさまざまな種類があります。
サプリは通信販売などで気軽に入手でき、飲むだけなので摂取に手間もかかりません。紅参の豊富な成分を手軽に摂取したい場合は、サプリを利用するのがお勧めです。
まとめ
紅参は皮を剥かずに加工した高麗人参です。
高麗人参の皮には有効成分のジンセノサイドが豊富に含まれているため、紅参は効果の高い最高級品です。高麗人参の高い健康効果や美容効果を得たい場合は、水参や白参よりも紅参を購入するのがお勧めです。
健康で若々しい身体を手に入れるために、いちど紅参を試してみることをお勧めします。