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高麗人参の代用品はあるのか

高麗人参は高い健康効果と美容効果をもつ一方で、栽培に手間と時間がかかるため、比較的高価な生薬です。また、高麗人参には独特の苦味や風味があります。高麗人参を試してみたいと思っていても、こうした点が気になって購入をためらっている人がいるかもしれません。
こうした場合に利用できる、高麗人参と似た効果がある代用品はあるのでしょうか。高麗人参の代用品として紹介されることのある食品や、高麗人参以外の薬用人参について解説します。

代用品とされる食品

高麗人参の健康効果の多くは、有効成分であるサポニンによってもたらされます。高麗人参に含まれるサポニンは、ジンセノサイドと呼ばれます。
高麗人参と同じくサポニンを含む食品としてよく紹介されるのが、ごぼう、大豆、黒豆などです。しかし、これらの食品と高麗人参は成分や効果が異なり、代用品とはいえません。

ごぼう

ごぼうはキク科ゴボウ属に分類される多年草です。高麗人参と同じく根の部分が食用とされますが、高麗人参はウコギ科で全く別の植物です。

ごぼうには水溶性食物繊維のイヌリン、不溶性食物繊維のリグニン、ミネラルのカリウム、ポリフェノールの一種クロロゲン酸やタンニンが含まれています。これらの成分により、ごぼうには生活習慣病の予防効果や、腸内環境を整える効果、老化を遅らせる効果など、高い健康効果があることが知られています。

「ごぼうには高麗人参と同じく有効成分のサポニンが含まれる」とされ、高麗人参の代用品として紹介されることがあります。しかし、ごぼうにサポニンが含まれているとする研究や分析結果はありません。ごぼうを使った健康食品の成分表示にもサポニンの記載はなく、仮に含まれていたとしてもごく微量です。

ヤマゴボウ科に属するヨウシュヤマゴボウにはサポニンが含まれていますが、ヨウシュヤマゴボウは有毒植物で、食用にはできません。
高麗人参を使った韓国料理のサムゲタンを作る際に、日本では高麗人参の代わりにごぼうを使用する場合があります。しかし、ごぼうには高麗人参の健康効果の中心となるサポニンが含まれておらず、健康食品としては代用品になりません。

大豆

大豆は、マメ科ダイズ属に分類される植物です。大豆にもサポニンが含まれており、大豆サポニンと呼ばれます。
大豆サポニンには、ブドウ糖が体内で脂肪と結合するのを防ぐ働きがあり、脂肪の蓄積を抑える効果があります。大豆サポニンの摂取により、血液中のコレステロール値や中性脂肪が減少したとの研究報告があり、大豆は肥満や動脈硬化の予防に効果的です。

高麗人参に含まれるサポニンはジンセノサイドと呼ばれ、血栓を予防して血流をスムーズにする働きがあります。また、高麗人参には脂質の代謝を促進する働きがあり、血液中の脂質を減少させます。これらの効果は動脈硬化の予防に効果的です。

このように、大豆と高麗人参にはサポニンが含まれ、ともに動脈硬化の予防に効果的ですが、サポニンの種類と効果のメカニズムが異なります。

両者に含まれるサポニン以外の栄養素も種類や含有量が大きく異なり、それによって身体に対する効果にも違いがあります。例えば大豆には、高麗人参がもつストレス軽減効果や自律神経のバランスを整える効果は期待できません。また、高麗人参は古くから貴重な薬草として利用されてきましたが、一般的に大豆は薬として利用されていません。

大豆はサポニンを含みますが、高麗人参のサポニンとは種類が違います。ほかの成分や身体に対する効果も大きく異なり、高麗人参の代用品にはなりません。

黒豆

黒豆は、高血圧や糖尿病、動脈硬化の予防に効果的な食品として知られています。高麗人参と同じく、煎じてお茶としても飲まれています。

黒豆にもサポニンが含まれていますが、黒豆は大豆の品種のひとつで、高麗人参のサポニンとは効果のメカニズムが異なります。また、黒豆の健康効果の多くは、黒豆に含まれる色素のアントシアニンの働きによってもたらされます。
黒豆にはサポニンが含まれ、高麗人参と似た効果もありますが、代用品とはいえません。

高麗人参以外の薬用人参

高麗人参以外にも、健康食品や漢方薬として使用される薬用人参があります。これらには高麗人参と同じくジンセノサイドが含まれていますが、その種類や量が高麗人参とは異なります。

なお、一般的に食べられている野菜のニンジンはセリ科の植物で、ウコギ科の高麗人参とは全く異なり、ジンセノサイドも含まれていません。

アメリカニンジン

アメリカニンジンは、高麗人参と同じウコギ科の薬用植物で、北アメリカ東部が原産です。「西洋人参」という別名があるほか、中国におけるアメリカ国旗の旧称である「花旗」にちなんで「花旗参」とも呼ばれます。

アメリカニンジンにも、高麗人参と同じく有効成分のジンセノサイドが含まれています。しかし、薬効が一般に知られたのが18世紀初頭と遅く、生薬として利用されてきた歴史が浅いため、効果や身体に対する悪影響については不明な点も多く残っています。

アメリカニンジンは高麗人参と同じウコギ科の植物ですが、東洋医学における生薬の基本的性質が異なっており、高麗人参には身体を温める作用がある一方で、アメリカニンジンには身体を冷やす作用があります。
また、アメリカニンジンは通常3、4年で収穫されるため、4-6年かけて栽培される高麗人参と比較すると、ジンセノサイドなどの有効成分が少量しか含まれていません。

アメリカニンジンは日本では主にサプリメントとして利用されており、通信販売などで購入可能です。しかし、作用や有効成分の含有量の違いから、高麗人参の代用品とはいえません。

三七人参

三七人参(さんしちにんじん)はウコギ科の薬用植物で、中国の南部が原産地です。広西省の田陽や田東と呼ばれる地域で産出されることから「田七人参(でんしちにんじん)」とも呼ばれます。また、金に換えられないほど貴重という意味の「金不換(きんふかん)」という別名もあります。

三七人参の原産地では古くから利用されてきたと考えられていますが、中国医学に利用された歴史は高麗人参よりも浅く、三七人参が医学書に記載されるのは16世紀以降です。

三七人参にも数多くのジンセノサイドが含まれており、肝機能の向上や免疫力向上、血行促進や生活習慣病の予防など、高麗人参と似た効果をもつとされます。一方で、抗炎症作用をもつ特定のジンセノサイドが三七人参に含まれていないなど、成分と効果に違いがあります。
三七人参は、主にサプリメントや漢方薬として販売されています。

竹節人参

竹節人参(ちくせつにんじん)はトチバニンジンとも呼ばれ、ウコギ科の植物です。根茎が1年ごとに1節増え、竹の節に似ていることが名前の由来です。日本各地に広く自生しており、生薬として利用されます。

竹節人参にもジンセノサイドを含むサポニンが含まれており、高い解熱作用や、咳や痰を抑える作用、胃を丈夫にする作用があるとされています。一方で、身体の新陳代謝を促す作用については、高麗人参よりも劣るとされます。

竹節人参は、煎じたものを飲用するほか、生の根をホワイトリカーに漬けて薬酒にするなど、高麗人参と似た方法で主に利用されています。また、皮膚を刺激する作用があることから、育毛剤に配合されることもあります。

エゾウコギ

エゾウコギはウコギ科ウコギ属の植物で、根皮が薬用として用いられます。日本の北海道のほか、ロシアのアムール州、サハリン州、中国の吉林省などにも自生しています。シベリア人参とも呼ばれますが、高麗人参はトチバニンジン属に分類されるため、両者の類縁関係は薄く、成分も異なっています。

エゾウコギの有効成分には、エレウテロシドと呼ばれるサポニンや、クロロゲン酸、イソフラキシジンなどが挙げられます。滋養強壮効果、抗ストレス効果、運動能力を高める効果などがあるとされ、エゾウコギを使ったサプリメントや漢方薬が販売されています。

ツルニンジン

ツルニンジンは、形状が高麗人参に似ているためニンジンと名付けられていますが、高麗人参とは異なるキキョウ科に属する植物です。韓国では代表的な山菜として一般的に食されていますが、日本では食べる習慣がありません。

ツルニンジンには滋養強壮効果、胃を丈夫にする効果、咳や痰を抑える効果、がんの予防効果などがあるとされ、生薬としても利用されます。漢方医学では、ツルニンジン属のほかの種類を含めて「党参(とうじん)」と呼ばれます。

他の薬用人参は高麗人参の代用品になるか

高麗人参以外の薬用人参をご紹介してきました。これらには有効成分のジンセノサイドが含まれていますが、その種類や量が高麗人参とは異なり、その差によって効果にも違いがあります。似た効果をもつものもありますが、正確には代用品にはなりません。

また、これらの薬用人参は漢方薬やサプリとして販売されており、高麗人参と同じくそれなりの値段がします。必ずしも高麗人参より安く利用できるわけではなく、値段を理由とした代用品にはなりません。
また、これらの薬用人参にもジンセノサイドが含まれていることから苦味があり、高麗人参の味や風味を避けるための代用品にもなりません。

アメリカニンジンの身体を冷やす効果や、竹節人参の咳や痰を抑える効果が目的の場合はこうした人参を選んで摂取すべきですが、高麗人参の代用品になるとはいえません。

まとめ

ごぼう、大豆、黒豆などが高麗人参の代用品として紹介されることがあります。しかし、含まれる成分や効果が異なり、代用品になるとはいえません。高麗人参以外の薬用人参も数多くありますが、含まれる有効成分の種類や量が異なります。ほかの薬用人参も価格や味の点で高麗人参と大差なく、これらを理由とした代用品にはなりません。
高麗人参は「漢方の王様」と呼ばれ、古くから効果の高い薬草として珍重されてきました。代用品として紹介されるものもありますが、高麗人参の高い健康効果や美容効果を得るには、高麗人参そのものを利用することをお勧めします。

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