高麗人参の6年根って何？

高麗人参を使った商品には、「6年根の高麗人参」、「6年根を使用」といった説明文がよくあります。一般的に6年根は高麗人参の中でも最高級品とされていますが、5年や7年ではなく、なぜ6年なのでしょうか。6年根とはどういったものなのか、6年根にはどういったメリットがあるのか、詳しく解説します。

6年根は6年間育てられた最高級品

高麗人参は、土の中で育てられた根の部分が健康食品や漢方薬として利用されます。高麗人参は、種まきから収穫までの年数によって、1年根から6年根の6種類に分類されます。6年根はその名の通り、土の中で6年間育成された高麗人参の根のことです。

高麗人参は、6年目までは年数が増えるほど根が大きくなり、含まれる有効成分も多くなります。高麗人参は通常、4-6年間栽培されたものが収穫されます。6年根は、栽培に時間と手間が最も多くかかっており、有効成分を豊富に含んだ最高級品です。

高麗人参は、7年以上は栽培されません。高麗人参はもともと病気や害虫に弱い植物ですが、7年目以降はさらに弱くなり、根が枯れたり腐ったりする危険性が高まります。また、7年目以降で成長するのは有効成分の少ない根の中心部で、高麗人参の健康効果をもたらす成分が増えません。こうした理由から、高麗人参は7年以上の栽培が行われていません。

6年根の栽培には長い期間が必要

6年根の栽培には、とても長い時間が必要です。6年間育てるのだから当然と思うかもしれませんが、6年根の栽培にかかる時間はそれだけではありません。

まず、高麗人参の栽培には土作りがとても重要です。高麗人参は育つ際に、土の中の栄養分をすべて吸い取ってしまいます。また、苗を植えた後で土を耕したり肥料などを混ぜたりすることはできません。
このため、6年根を栽培する前には、病原菌や害虫の居ない6年分の栄養素を含んだ土壌を準備する必要があります。通常、この土作りだけで1-3年間かかります。

また、収穫した後の土地で、すぐ次の栽培や土作りが行えるわけではありません。高麗人参は連作ができず、再度栽培するには長い期間土地を休ませる必要があります。
こうした休耕期間が必要なのは、高麗人参が土地の栄養分を根こそぎ吸い取ってしまうことと、日光を遮って高麗人参の栽培を行うため、土の中で病原菌が繁殖してしまうことが理由です。

以前は6年根より短い期間の栽培であっても、10年以上の休耕期間が必要とされていました。現在は土壌の消毒や、間にほかの作物を栽培することで、休耕期間がやや短縮されています。それでも、次の栽培までには数年間の休耕期間が必要です。
高麗人参の栽培が盛んな韓国では、現在でも高品質な6年根を栽培する前に、10年以上土地を休ませています。

このように、6年根の栽培には、土作りに1-3年、栽培に6年、土地を休ませるのに10年の、合計17-19年の期間が必要です。6年根は、長い時間と手間がかかった高麗人参の最高級品です。

6年根は有効成分が豊富

高麗人参の高い健康効果の中心となる成分に、高麗人参特有のサポニンがあります。サポニンは植物の根・茎・葉などに含まれる成分で、血行を促進する作用や、血液中の脂質を減らす作用があります。
高麗人参特有のサポニンはジンセノサイドと呼ばれます。ジンセノサイドには、増えすぎると身体に悪影響を与える活性酸素を中和する作用や、免疫力を高める作用など、多くの効果があることが確認されています。

高麗人参は栽培年数が増えるごとに根が大きくなり、根に含まれるジンセノサイドの量も年数とともに増えていきます。栽培期間が3年以下の根はジンセノサイドが少ないため、通常は4-6年間栽培されたものが収穫されます。6年根には、ジンセノサイドが最も多く含まれています。

高麗人参には、ジンセノサイド以外にも、健康や美容に役立つ成分が豊富に含まれています。
高麗人参に多く含まれるアルギニンはアミノ酸の一種で、血行を促進する作用や成長ホルモンの分泌を増加させる作用があります。また、ビタミンB群を中心としたビタミン類や、マグネシウム・カリウム・鉄・亜鉛といったミネラルも豊富です。
6年根には、こうしたアミノ酸・ビタミン・ミネラルといった成分が、栽培年数の短い根に比べて多く含まれています。高麗人参の高い効果を得るには、6年根が最適です。

ジンセノサイドのバランスが良い6年根

高麗人参特有のサポニンであるジンセノサイドには多くの種類があり、6年根を加工したものには30種類以上のジンセノサイドが含まれています。

ジンセノサイドはその種類によって効果が異なり、中枢神経の興奮を抑えるジオール系、中枢神経を刺激するトリオール系、抗炎症作用などがあるオレアノール系の3つに大まかに分類されます。
ジオール系とトリオール系は、両者の効果が相殺されずにバランスをとりながら身体に作用します。神経が過度に興奮している時はジオール系が強く働いて興奮を抑え、神経の働きが鈍っている時にはトリオール系が神経を刺激します。こうしたジンセノサイドの働きにより、高麗人参には神経の働きを正常に保つ作用があります。神経の働きは内臓の機能を調整しているため、高麗人参には内臓機能を正常に保つ働きもあります。
このように、高麗人参の健康効果は、ジンセノサイドがバランス良く作用することで発揮されます。

高麗人参には根の部分以外にもジンセノサイドが含まれており、部位によって含有量のバランスに違いがあります。実や葉にはトリオール系が多く含まれ、ジオール系は少量しか含まれていません。漢方薬や健康食品として主に利用される根が、最もジンセノサイドのバランスが良い部位です。

また、栽培年数によっても、根に含まれるジンセノサイドの比率が変化します。
1年根や2年根ではジオール系が多く、年数が増えるに従ってトリオール系の比率が増えます。最もジンセノサイドのバランスが良くなるのが6年根です。
6年根はジンセノサイドの量が最も多く、含有量のバランスも優れています。

6年根は紅参に加工される

6年根は、多くの有効成分が含まれている高麗人参の高級品です。6年根は、その豊富な成分を有効利用するために、「紅参(こうじん)」と呼ばれる状態へと加工されます。

紅参は、高麗人参の皮を剥かずにそのまま蒸した後、水分が14%以下になるよう乾燥させたものです。皮の色素によって赤みのある外見をしているため、紅参と呼ばれます。
これに対して、皮を剥いた後に乾燥させる加工法もあります。皮を剥いたものは白い外見をしているため、「白参(はくじん)」と呼ばれます。

有効成分のジンセノサイドは、皮の部分に最も多く含まれています。このため、皮付きのまま加工した紅参には、白参よりも多くのジンセノサイドが含まれています。また、紅参に加工する過程で成分が変化し、ジンセノサイドの量や種類が増えることも、成分分析から明らかになっています。紅参には、生の高麗人参や白参よりも多くの有効成分が含まれています。

6年根の多くは、成分を有効利用するために紅参に加工されます。6年根の豊富なジンセノサイドが、紅参に加工されることでさらに増加します。6年根の紅参は、高麗人参の中でも効果が高い最高級品です。

6年根の選び方

ひとくちに6年根の紅参といっても、産地などによって製品の品質に違いがあり、稀に粗悪なものもあります。6年根を選ぶ際に基準となるポイントをいくつかご紹介します。

ランクを参考にする

紅参の中でも品質に違いがあるため、販売元によっては、さらに細かくランク付けされている場合があります。こうしたランクは、品質・大きさ・形状・内部組織の状態などによって決定され、「天」、「地」、「人(良)」などに分類されます。
6年根の紅参の「天」は、紅参の中でも最高級品です。こうした製品を選べば、値段は高めになりますが、粗悪品のリスクは低くなります。

信頼できる店やブランドを選ぶ

粗悪品を売ると信用が傷つくため、長く続いている店やブランドから購入すれば、粗悪品をつかむ可能性は低くなります。店舗で高麗人参を購入する場合は、なるべく信頼できる店を選びましょう。通信販売を利用する場合も、製品のブランドや販売業者をよく調べて、多くの人に利用されている信用力の高いところから購入することをお勧めします。

安すぎる製品は買わない

6年根の栽培には、非常に長い時間と多くの手間がかかります。このため、どうしても値段が高くなります。高ければよいというわけではありませんが、安すぎる製品は粗悪品の可能性が高いです。安物買いの銭失いにならないよう、あまりに安価な製品の購入は避けるべきです。

産地を確認する

高麗人参は、産地によってジンセノサイドの含有量などに違いがあります。長く栽培が行われている有名な産地の高麗人参は、品質も高いといわれています。

韓国の有名な産地としては、慶尚北道栄州市の「豊基」や、忠清南道の「錦山」が挙げられます。中国では白頭山(別名：長白山)付近が産地として有名で、生産されたものは「長白山人参」と呼ばれます。また、北朝鮮の「開城」も高品質な高麗人参の産地として知られています。
日本では、長野県や福島県、島根県で主に栽培が行われています。
高麗人参を購入する際は、こうした産地で栽培されたものを選ぶのもひとつの手です。

まとめ

高麗人参の6年根は、土の中で6年間育成された高麗人参です。6年根には多くの有効成分がバランス良く含まれています。6年根の多くは成分を有効利用するために紅参に加工され、6年根の紅参は高麗人参の中でも最高級品です。
高麗人参には、高い健康効果や美容効果があります。丈夫で若々しい身体を手に入れるために、6年根の紅参を試してみてはいかがでしょうか。