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高麗人参は胃を丈夫にする

疲労回復などの滋養強壮効果で知られる高麗人参には、胃を丈夫にする効果もあります。
民間の機関が行った胃の健康についてのアンケート調査によると、現代の大人の60%以上が胃に何らかの不安を抱えています。ストレスや不規則な食生活で弱りがちな現代人の胃に、高麗人参が効果的です。胃を丈夫にする高麗人参の効果について解説します。

高麗人参は胃に効く

高麗人参は、古くから胃腸に効果的な薬草として利用されてきました。大学などの研究でも、胃の不調を改善する高麗人参の効果が確認されています。

古くから胃に効く薬として利用

約2000年前に記された中国最古の薬物書である『神農本草経』には、高麗人参は「五臓を補う」効果があると記載されています。高麗人参には内臓の機能を補う働きがあり、古くから胃腸の改善に効果的な薬草として利用されてきました。また、この書において高麗人参は最高ランクの「上薬」とされ、長期間服用しても安心な養生薬とされています。

胃に対する効果は実験でも確認されている

高麗人参が胃の不調に対して効果的なことが、現代の研究でも確認されています。

富山大学和漢研究所の研究において、強いストレスを与えて胃潰瘍を発生させたマウスに高麗人参を摂取させたところ、胃潰瘍や胃の出血の大幅な改善がみられたとの実験報告があります。
また、愛媛大学医学部の研究において、高麗人参の成分を投与されたラットはストレス性の胃潰瘍の発生が抑制されたとの実験報告があります。
さらに、近畿大学の研究において、薬品によって胃潰瘍を発生させた雄猫に高麗人参エキスを投与したところ、胃の血流が促進されて胃潰瘍が抑制されたとする実験報告があります。

こうした研究が示す通り、高麗人参には胃粘膜を保護して胃潰瘍を防ぐ効果があります。高麗人参は胃の不調の改善に効果的です。

高麗人参の成分は胃の炎症を抑える

高麗人参は多くの健康効果があることで知られています。その効果をもたらす主な成分が、ジンセノサイドと呼ばれる高麗人参特有のサポニンです。
サポニンは植物に含まれている配糖体の一種で、血行を促進する効果や免疫力を高める効果など、さまざまな健康効果があります。

高麗人参には、高麗人参特有のサポニンであるジンセノサイドが約40種類含まれています。これらは種類によって異なる生理作用をもっており、ジンセノサイドCKやジンセノサイドRh1などのいくつかの種類には抗炎症作用があることが確認されています。
こうした成分の働きにより、高麗人参には胃粘膜の炎症を抑える効果があります。

高麗人参はストレスを軽減して胃に効く

ストレスは胃の働きに悪影響を与えます。高麗人参にはストレスを軽減する効果があり、ストレスを原因とする胃の不調の予防・改善に役立ちます。

ストレスは胃炎や胃弱の原因になる

ストレスが胃に悪影響を与えることはよく知られています。職場や家庭などでストレスを我慢している人は胃の不調の発生率が高いことが、民間の調査によって確認されています。

ストレスが関係するといわれる胃炎には、急性胃炎・慢性胃炎・神経性胃炎・胃潰瘍などがあります。これらは強いストレスを感じている人に多く発生し、胃痛や胸焼け、胃もたれ、吐き気などを引き起こします。
胃痛などの胃の不調の予防・改善には、日常生活でのストレスを軽減することが重要です。

高麗人参はストレスを軽減する

高麗人参には、精神を安定させてストレスを軽減する効果があります。この効果により、高麗人参はストレスによる胃の不調の予防・改善に役立ちます。

中国最古の薬物書である『神農本草経』には高麗人参に関する記載があり、内臓に対する効果だけでなく、「精神を安んじ、魂魄を定める」効果があるとされています。高麗人参の精神安定効果は、古くから確認されていました。

ストレスを軽減する高麗人参の効果は、研究でも確認されています。
高麗人参にはストレスに対処するためのホルモンの分泌を促進する働きがあり、抗ストレス効果があるとする研究発表が、1963年にブルガリアの医学研究所によって行われています。
また、ネズミに高麗人参を投与したところ、ストレスによる運動能力の低下が顕著に抑制されたとする東京大学の実験報告があります。
さらに、ストレスによって分泌されるホルモンについて調べた実験が行われ、高麗人参の摂取によって血液中のこうしたホルモンの減少が促進され、ストレスからの立ち直りが早まったとする研究報告がされています。

ストレス軽減に役立つ高麗人参の成分

高麗人参には約40種類のジンセノサイドが含まれています。そのうちのひとつジンセノサイドPPTには、ストレスを軽減する作用があることが確認されています。
また、多くのジンセノサイドには神経の働きを補助する作用があります。ジンセノサイドはストレスによって刺激された神経の興奮を抑えて、精神を安定させます。

高麗人参にはカルシウムやマグネシウムも含まれています。これらのミネラルには神経の興奮を抑える作用があり、精神を安定させてストレス軽減に役立ちます。

さらに、高麗人参にはビタミンB1、ビタミンB2などのビタミンB群が含まれています。ビタミンB群は「代謝ビタミン」と呼ばれ、糖・脂質・タンパク質をエネルギーに変換するのに必要な成分です。ビタミンB群は脳へのエネルギー供給に役立ち、脳のエネルギー不足による思考力の低下や精神不安を防ぎます。

これらの有効成分の働きにより、高麗人参はストレスを軽減します。高麗人参はストレスを原因とする胃炎や胃弱の予防・改善にとても効果的です。

高麗人参は自律神経を整えて胃の働きを正常化する

胃腸など内臓の機能は、自律神経の働きによって調整されています。高麗人参には自律神経のバランスを調整する作用があり、自律神経の乱れによる胃の不調を防ぎます。

自律神経は胃の働きを調整する

自律神経は、内臓や血管などの働きを24時間無意識のうちに調整している神経です。自律神経は、活動時や日中に活発になる交感神経と、休息時や夜間に活発になる副交感神経に分けられ、両者がバランスをとりながら機能しています。自律神経のバランスが乱れると、内臓機能の不調や精神不安などの心身の不調が起こります。

ほかの内臓と同じく、自律神経は胃の働きを無意識のうちに調整しています。ストレスによって胃の不調が起こるのは、ストレスが交感神経を刺激して自律神経のバランスを乱すためです。
胃の機能に関わる自律神経のバランスを整えることは、胃を丈夫に保つためにはとても重要です。

高麗人参は自律神経を整える

高麗人参には、自律神経のバランスを整える作用があります。

高麗人参特有の成分であるジンセノサイドは約40種類あり、それぞれが特徴的な作用をもっています。
ジンセノサイドには神経を興奮させて交感神経の働きを助けるトリオール系や、神経の興奮を抑えて副交感神経の働きを助けるジオール系などがあります。これらの成分の働きは相殺されずに、交感神経が優勢なときはジオール系が強く働いて副交感神経の働きを助け、副交感神経が優勢なときはトリオール系が強く働いて交感神経を活発にします。
こうしたジンセノサイドの働きにより、高麗人参には自律神経のバランスを整える効果があります。

こうした自律神経のバランスを整える働きがあるため、高麗人参は代表的な「アダプトゲン」とされています。アダプトゲンとは、ストレスに対する抵抗力を高めるとともに、標準から外れた身体の機能を正常な状態に戻す作用のある薬草のことです。
高麗人参は自律神経を調整することで身体の機能を正常な状態に保ち、胃痛などの内臓の不調の予防・改善に役立ちます。

高麗人参はピロリ菌に効く

高麗人参が胃炎や胃がんなどの原因となるピロリ菌に対して効果的とする研究報告があります。

ピロリ菌は胃がんの主な原因

世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)によれば、胃がんの8割はピロリ菌が原因で発症しています。

ピロリ菌は強い酸性である胃の中でも生息できる細菌で、感染すると慢性的な炎症を引き起こします。ピロリ菌は胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となり、胃がんのリスクを高めます。また、胃の状態を悪化させるため、胃から発生する強い口臭の原因にもなります。
胃がんや胃炎の発症を防ぐためには、胃の中のピロリ菌を除菌することが重要です。

高麗人参はピロリ菌の除菌率を高める

高麗人参のエキスにはピロリ菌の除菌効果があるとする研究報告があります。

ピロリ菌の除菌には、抗生物質などの抗菌薬が使用されます。薬を飲めば必ず除菌できるという訳ではなく、一回の除菌療法による除菌の成功率は約75%といわれています。
このピロリ菌の除菌療法において、除菌薬とともに高麗人参のエキスを投与したところ、ピロリ菌の除菌率が向上したという研究報告があります。この研究成果は、日本ヘリコバクター学会の学術集会などで報告されています。

高麗人参は胃の血行を促進する

高麗人参には身体の血行を促進する作用があり、胃の血行を促進して胃の健康状態を正常に保ちます。

血行は胃の健康に重要

胃の働きは、血液の流れと密接に関係しています。食事をした後に眠くなるのは、胃腸で行われる消化活動のために大量の血液が必要になり、脳への血流が減少するためです。
胃の血行が悪くなると消化不良の原因になり、胃炎などを引き起こします。血行は胃の細胞の新陳代謝や粘膜の生成にも重要で、胃の血行が促進されると胃粘膜の修復能力が高まり、胃が丈夫になります。

高麗人参は血行を促進する

高麗人参には、身体の血行を促進する成分が豊富に含まれています。
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、血を固まりにくくして血流をスムーズにする働きがあります。また、脂質の代謝を促進して血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させる働きもあるため、高麗人参には血液をサラサラにする効果があります。

高麗人参には、アミノ酸の一種アルギニンも含まれています。アルギニンは体内で一酸化窒素に変換され、一酸化窒素には血管を拡張する作用があります。アルギニンを含む高麗人参は、血管を拡張して血行を促進します。

また、日々の呼吸によって体内で発生する活性酸素は、増えすぎると血行悪化の原因になります。活性酸素には強い酸化作用があり、一酸化窒素と反応してその血管拡張効果を失わせてしまいます。
高麗人参に含まれるジンセノサイドには、活性酸素を中和する強い抗酸化作用があります。高麗人参は一酸化窒素を活性酸素から守り、身体の血行悪化を防ぎます。

このように、高麗人参には血行を促進する高い効果があります。高麗人参は胃の血行を促進して、胃を健康な状態に保ちます。

飲み始めは胃の不調が起こることもある

胃腸の健康増進にとても効果的な高麗人参ですが、高麗人参を飲み始めた際に、胃の不快感などの胃の不調が起こる場合があります。
こうした身体の反応は「好転反応」や「瞑眩(めんけん)反応」と呼ばれ、漢方薬などが身体を正常な状態に戻す際に起こる正常な反応です。
高麗人参を飲み始めた際の好転反応として、胃の不調のほかに、動悸やだるさ、下痢などが起こる場合があります。

こうした好転反応は、通常1-2週間で症状がなくなります。好転反応がつらい場合は、高麗人参の量を減らして様子をみるか、一時的に摂取を中断してみましょう。症状が治まってから、少しずつ摂取を再開して身体を慣らすと良いでしょう。

まとめ

高麗人参は、古くから内臓の機能を高める効果がある薬草として利用されてきました。高麗人参にはストレス改善効果や、自律神経のバランスを整える効果、胃の血行を促進する効果があり、胃炎の予防や丈夫な胃の形成にとても効果的です。また、高麗人参には胃がんや胃炎の原因となるピロリ菌の除菌率を高める作用があることも、研究で確認されています。
日常生活のストレスなどによって胃腸に不安を抱えている方は、いちど高麗人参を試してみることをお勧めします。

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