夏バテ予防に高麗人参が効果的！

夏の高温多湿の環境に身体が対応できないと、つらい夏バテの症状が起こります。夏バテは、暑気中り(しょきあたり)、夏負けなどとも呼ばれ、倦怠感や食欲不振などのさまざまな症状を引き起こします。
古くから滋養強壮に効果的な薬草として珍重されてきた高麗人参は、夏バテに効果的な健康食品として知られています。夏バテ予防のために日本で土用の丑の日にウナギを食べるように、韓国では高麗人参を使った代表的な料理であるサムゲタンを夏の特定の日に食べる習慣があります。夏バテ予防に役立つ高麗人参の効果について解説します。

夏バテは自律神経の乱れが主な原因

夏バテの症状は、主に夏の暑さや温度変化によって自律神経のバランスが乱れることが原因で起こります。

・自律神経は身体の機能を調整する神経
自律神経は、内臓の機能や血液循環、体温、心拍数、呼吸などの身体の機能を24時間無意識のうちに調整している神経です。
自律神経は、活動時や昼間に活発になる交感神経と、休息時や夜間に活発になる副交感神経に分けられ、両者がバランスをとりながら機能しています。自律神経のバランスが乱れると、倦怠感や内臓の不調、不眠などの心身の不調の症状が起こります。

・夏の暑さや温度差が自律神経を乱す
気温が高まると、体温調節のために人は汗をかきます。自律神経は体温調節の役割も担っており、暑い夏には自律神経が常に働き続けなければならず、疲労が蓄積して自律神経が乱れやすくなります。
また、夏には冷房によって、屋外と屋内の大きな温度差や上半身と足元の温度差が発生します。こうした温度差や強い冷房によるストレスは自律神経に負担をかけ、自律神経のバランスを乱します。自律神経のバランスが乱れると、自律神経が関係している内臓の機能などにも悪影響が及び、倦怠感や食欲不振などの夏バテの症状が起こります。

高麗人参は自律神経のバランスを調整する

高麗人参には、自律神経のバランスを調整する高い効果があります。高麗人参は夏バテの原因となる自律神経の乱れを防いで、夏バテの予防・改善に役立ちます。

・高麗人参の効果の中心となるジンセノサイド
高麗人参には数多くの健康効果があり、その中心となる成分がジンセノサイドです。植物には苦味のもととなるサポニンと呼ばれる成分が含まれており、高麗人参特有のサポニンがジンセノサイドと呼ばれます。
高麗人参は、ジンセノサイドの働きによって自律神経を調整し、夏バテの症状を防ぎます。

・ジンセノサイドが自律神経を整える
ジンセノサイドには30以上の種類があり、神経の興奮を抑えるジオール系や、神経を刺激するトリオール系などに大まかに分類されます。
ジオール系とトリオール系には相反する作用がありますが、これらは相殺されることなく体内で機能します。交感神経の働きが過度に活発なときはジオール系が強く働いて興奮を抑え、副交感神経が過剰に優位なときは倦怠感や眠気が生じますが、そのときはトリオール系が強く作用して交感神経を刺激します。

こうしたジンセノサイドの作用により、高麗人参は自律神経のバランスを正常な状態に保ちます。自律神経のバランスを整える高麗人参は、夏バテの予防・改善にとても効果的です。

夏バテ予防に役立つ高麗人参の効果

夏バテは、温度差による自律神経の乱れのほか、睡眠不足や身体の水分不足などが原因でも起こります。こうした原因で起こる夏バテに対しても、高麗人参は効果的です。夏バテの予防に役立つ高麗人参の効果をご紹介します。

睡眠の質を高める

・睡眠不足は夏バテを引き起こす
都市部の住宅の密集やエアコンの室外機の影響により、現代では夜間でも気温が下がりにくくなっています。熱帯夜によって寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりして睡眠の質が下がると、日中の疲労が回復できずに夏バテを引き起こします。

また、睡眠中は自律神経の副交感神経が活発になります。このため、睡眠の質が低下すると副交感神経の働きが抑制されて交感神経が過度に活発になり、夏バテを引き起こす自律神経の乱れが起こりやすくなります。

・高麗人参には安眠効果のあるアミノ酸が含まれている
高麗人参には、アミノ酸のグリシンとセリンが含まれています。これらのアミノ酸は安眠効果があることで知られ、これらを就寝前に摂取させたところ、寝つきや睡眠の途中で起きる回数、睡眠の満足度といった睡眠の質が大きく改善したとの複数の実験報告があります。
高麗人参は安眠効果のある成分を身体に補って、睡眠の質を高めます。

・高麗人参はストレスを軽減して睡眠の質を高める
ストレスを感じると、ストレスに対抗するために副腎皮質刺激ホルモンのコルチコトロピンが分泌されます。このホルモンはストレスに対抗するために必要ですが、その一方で睡眠を阻害する作用があります。このため、ストレスは睡眠の質を低下させます。

高麗人参は古くから精神を安定させる薬草として珍重され、ストレスを軽減する高い効果があります。高麗人参のストレス軽減効果は現代の研究でも確認されており、ストレス性の胃腸炎を抑制する効果や、ストレスによる運動能力の低下を抑制する効果が、動物実験によって報告されています。
高麗人参は、ストレスを軽減して睡眠の質を低下させるホルモンの分泌を防ぎ、睡眠の質を高めます。

このように、高麗人参には睡眠を改善する効果があります。高麗人参は睡眠を改善して、睡眠不足による夏バテを予防します。

身体の水分不足を防ぐ

高温多湿の環境では、体温調節のために大量に汗をかきます。これによって身体の水分が不足気味になり、倦怠感などの夏バテの症状が起こります。

高麗人参は、古くから身体の渇きを防ぐ薬草として利用されてきました。東洋医学における高麗人参の効果をまとめた「高麗人参七効説」では、高麗人参の主要な効果のひとつに「生津止渇（せいしんしかつ）」の効果があるとされています。生津止渇とは、身体に水分を保持して渇きを抑え、ホルモンの分泌を促進する作用のことです。
高麗人参は身体の水分不足を防いで、夏バテの予防・改善に役立ちます。

夏の紫外線で増える活性酸素を中和する

強い紫外線を浴びると、体内で活性酸素が多く発生します。活性酸素が増えすぎると、身体の疲労感を引き起こして夏バテの原因になります。高麗人参には活性酸素を中和する強い抗酸化作用があり、過剰な活性酸素による夏バテを防ぎます。

・活性酸素は疲労の原因になる
活性酸素は、ほかの物質を酸化する力が非常に強い酸素のことです。活性酸素は病原菌の処理などに利用される身体に不可欠な物質ですが、増えすぎると健康な細胞まで酸化してしまい、身体に悪影響を及ぼします。

過剰な活性酸素は、細胞でエネルギーを生成する役割をもつミトコンドリアを酸化させ、その機能を低下させてしまいます。これによって細胞が生み出すエネルギーが減少し、疲労感を引き起こします。
また、近年の研究で、自律神経に関わる神経細胞が活性酸素によって傷つけられることで、神経細胞から脳に疲労を伝える物質が放出され、疲労感を生み出していることが明らかになっています。

・夏の紫外線は体内の活性酸素を増やす
活性酸素は、有害な物質から身体を守るために体内でつくられます。活性酸素には強い酸化力があるため、病原菌やウイルスを処理することができます。そのため、有害物質を身体が感知すると、体内で活性酸素が増加します。
紫外線は皮膚がんや白内障などの原因となり、身体に害を与えます。そのため、紫外線を浴びると活性酸素が体内で発生します。強い紫外線を受けやすい夏は、体内で発生する活性酸素が特に増加します。
有害物質の処理のために発生する活性酸素ですが、増えすぎると逆に身体に悪影響を及ぼしてしまいます。

・高麗人参は活性酸素を減少させる
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、活性酸素を中和する強い抗酸化作用があります。また、同じく高麗人参に含まれるビタミンCにも抗酸化作用があります。
高麗人参にはこれらの成分が豊富に含まれており、体内の過剰な活性酸素を減少させます。高麗人参は疲労感の原因となる体内の活性酸素を減らすことで、夏バテの予防・改善に役立ちます。

身体に活力を与える

高麗人参は、古くから滋養強壮に効果的な薬草として珍重されてきました。高麗人参には身体に活力を与える効果があり、夏バテによる疲労感の解消にとても効果的です。

・高麗人参は「気」を補う薬草
東洋医学における高麗人参の効果をまとめた「高麗人参七効説」では、高麗人参に「補気救脱（ほききゅうだつ）」の効果があるとされています。「気」とは元気や気力の「気」のことで、補気救脱とは身体に気力を補って、虚脱した状態を改善する効果のことです。
高麗人参は、古くから身体に活力を与える薬草として珍重されてきました。

・高麗人参の効果はドイツの委員会でも認定されている
こうした高麗人参の滋養強壮効果は、現代でも高く評価されています。ドイツの薬用植物の評価委員会である「コミッションE」は、疲労時や衰弱時、病後の回復期などの滋養強壮に効果的な薬草として、高麗人参を認定しています。
高麗人参は身体に活力を与えて、夏バテの予防・改善に役立ちます。

胃腸の健康を増進する

・夏は胃腸の調子が悪くなりがち
水分補給や暑さを解消するために、夏には冷たい飲み物や食べ物を多く摂取しがちです。これによって胃腸が冷えて胃腸の調子が悪くなり、食欲不振や消化不良が起こりやすくなります。胃腸の不調は栄養素の吸収を妨げ、栄養素の不足によって倦怠感などの夏バテの症状が起こりやすくなります。

・高麗人参は胃腸の調子を整える薬草
高麗人参は古くから内臓の調子を整える薬草として知られ、胃腸の健康を増進する高い効果があります。東洋医学における高麗人参の効果をまとめた「高麗人参七効説」では、高麗人参に「健脾止瀉（けんぴししゃ）」の効果があるとされています。健脾止瀉とは、胃腸の調子を整えて下痢を止める効果のことです。

・高麗人参は胃腸を健康に保つ
ほかの内臓と同じく、胃腸も自律神経の働きによってその機能が調整されています。ストレスなどによって自律神経が乱れると、胃腸の健康状態が悪化します。自律神経の乱れによる胃腸の疾患には、胃酸の過剰分泌による神経性胃炎や、下痢や便秘を伴う過敏性腸症候群などがあります。

高麗人参には、自律神経のバランスを正常に保つ効果があり、胃腸を健康に保ちます。
また、高麗人参には身体の血行を促進する高い効果もあります。高麗人参は血行を促進して胃腸の冷えを防ぎ、胃腸の働きを活発にします。
高麗人参には胃腸を健康に保つ高い効果があり、夏に起こりやすい胃腸の不調の予防・改善に役立ちます。

免疫力を高めて夏風邪を防ぐ

夏バテは免疫力を低下させます。高麗人参には、夏バテによる免疫力の低下を防ぐ効果や、身体の免疫力を高める効果があり、身体の健康維持に役立ちます。

・夏バテによる免疫力低下を防ぐ
自律神経のバランスが乱れると、免疫細胞におけるリンパ球と顆粒球のバランスが乱れ、免疫力が低下します。このため、夏バテになると、気温が高いにも関わらず風邪をひく夏風邪の症状が起こりやすくなります。
高麗人参には自律神経の働きを正常に保つ効果があり、夏の暑さや気温変化による自律神経の乱れを防いで、免疫力を高く保ちます。

・高麗人参は免疫力を向上させる
高麗人参特有の成分であるジンセノサイドには、主要な免疫細胞であるナチュラルキラー細胞の働きを活発にする作用があります。
また、高麗人参には強い生理作用をもつアルカロイドが少量含まれています。高麗人参に含まれているアルカロイドには、免疫細胞のマクロファージやB細胞の働きを活性化する作用があることが、研究で確認されています。
さらに、高麗人参には免疫力を高めることで知られるビタミンCも含まれています。ウイルスが体内に侵入すると、ウイルスの増殖を抑制するインターフェロンと呼ばれる物質が分泌されます。ビタミンCはこのインターフェロンの生成に必要な成分で、身体の免疫力を高める作用があります。

高麗人参はこれらの成分を身体に補い、免疫力を向上させます。高麗人参は、夏バテによって起こる夏風邪の予防にも効果的です。

高麗人参は身体にビタミンとミネラルを補う

夏には、ビタミンとミネラルが不足しがちです。水分を大量に摂取して汗や尿として排泄すると、ビタミンCやビタミンB群といった水溶性ビタミンや各種ミネラルが体外に排出されてしまいます。こうしたビタミンやミネラルが不足すると、倦怠感や気力の低下などの夏バテの症状が起こりやすくなります。
高麗人参には、夏に不足しがちなビタミン類やミネラルが含まれており、こうした栄養素の不足による体調不良を防ぎます。

ビタミンB群

ビタミンB群は水に溶けやすい性質をもつ水溶性ビタミンです。ビタミンB群は汗や尿と一緒に体外に排出されやすく、夏には特に不足しがちな栄養素です。
ビタミンB群は疲労回復に効果的なことで知られ、夏バテに効く栄養素として有名です。夏バテに効果的な食べ物として知られるウナギにも、ビタミンB1やビタミンB2が豊富に含まれています。

ビタミンB群は「代謝ビタミン」と呼ばれ、糖・脂質・タンパク質といった栄養素をエネルギーに変換するのに不可欠です。特に夏は清涼飲料水などによって糖分の摂取が多くなりがちで、糖分の代謝に必要なビタミンB1の摂取がとても重要です。
高麗人参はビタミンB群を身体に補い、身体へのエネルギー供給を促進して、夏バテによる疲労を防ぎます。

ビタミンC

ビタミンCもビタミンB群と同じく水溶性ビタミンであり、夏に多く補給したいビタミンです。
ビタミンCは、ストレスに対抗するための副腎皮質ホルモンの生成に不可欠な成分で、ビタミンCが不足するとストレスに対する抵抗力が弱くなります。夏は室内と屋外の気温差などによる心身のストレスが高まるため、ビタミンCの補給は欠かせません。
また、ビタミンCには免疫力を高める効果や、活性酸素を中和する抗酸化作用もあり、夏バテによる免疫力の低下や活性酸素による疲労の予防・改善にも効果的です。

こうした効果をもつビタミンCが高麗人参には含まれており、体調を崩しがちな夏の健康維持に役立ちます。

カリウム

カリウムは夏バテ予防にとても重要なミネラルです。汗に含まれる成分としてナトリウムが知られていますが、カリウムも汗と一緒に体外に排出されてしまいます。カリウムが不足する「低カリウム血症」は、夏バテの原因のひとつです。

カリウムは、ナトリウムとともに細胞の水分量を調整する働きがあります。また、神経の情報伝達にも不可欠な成分で、不足すると自律神経失調症などの原因になります。カリウム不足の症状には、疲労感や精神不安、筋力低下、むくみ、便秘などもあり、重度になると心臓麻痺や呼吸筋の麻痺などが起こる場合もあります。

高麗人参にはカリウムが豊富に含まれています。高麗人参は夏に不足しがちなカリウムを身体に補い、カリウム不足による夏バテや体調不良を防ぎます。

鉄・銅・亜鉛・カルシウム・マグネシウム

汗にはナトリウムやカリウムだけでなく、鉄・銅・亜鉛・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルも含まれています。これらのミネラルは身体で機能する酵素の材料になるほか、赤血球の生成や神経の情報伝達に必要であり、身体の機能に不可欠な成分です。夏にはこれらのミネラルが汗と一緒に体外に多く排出されてしまうため、これらを身体に補う必要があります。

高麗人参には鉄・銅・亜鉛・カルシウム・マグネシウムが含まれています。高麗人参は夏に不足しがちなこれらのミネラルを身体に補って、身体の健康維持に役立ちます。

まとめ

高麗人参は夏バテに効果的な食べ物として知られ、韓国では高麗人参を使ったサムゲタンを夏に食べる習慣があります。
夏バテは、主に自律神経の乱れによって起こります。高麗人参には自律神経のバランスを調整する高い効果があり、夏バテの予防・改善に役立ちます。また、夏バテの原因には、睡眠不足や身体の水分の不足、カリウム不足などもあり、高麗人参にはこれらに対しても効果的な成分が含まれています。
厳しい夏の暑さを乗り切るために、夏バテの予防に効果的な高麗人参を、いちど試してみることをお勧めします。