高麗人参の利用方法
高麗人参は「漢方の王様」とも呼ばれ、滋養強壮に効果的なことで知られています。高麗人参には加工方法によっていくつかの種類があり、それぞれの種類に適した利用方法があります。高麗人参のさまざまな利用方法について解説します。
高麗人参の種類
市販されている高麗人参は、加工方法によって大きく3つの種類に分けられます。種類によって利用方法が異なるため、まずは高麗人参の種類をご紹介します。
水参
畑から採れた生のままの高麗人参は「水参(すいじん)」と呼ばれます。この状態の高麗人参は水分を約70%含んでおり、保存に向いていません。その一方で、好きなように調理や加工ができるのが利点です。
白参
高麗人参の皮を剥いてから、水分量が12%以下になるように乾燥させたものを「白参(はくじん)」と呼びます。水参よりは保存がききますが、数年以上の長期保存には適していません。
高麗人参の皮には有効成分が多く含まれており、皮を剥いていない加工法に比べて、白参は効果がやや劣るとされています。
高麗人参は、通常土の中で4-6年間育成されたものが収穫されます。白参に加工される高麗人参の多くは、高麗人参としては比較的若い4年根です。
紅参
皮を付けたままの状態で蒸した後、水分量が14%以下になるように乾燥させたものを「紅参(こうじん・べにさん)」と呼びます。高麗人参の皮にはジンセノサイドと呼ばれる有効成分が豊富に含まれているため、紅参は高麗人参の中でも特に上級品とされます。また、長期保存にも適しています。
6年間土の中で育てた6年根の多くが、この紅参に加工されます。6年根の紅参には有効成分が豊富に含まれ、高麗人参の中でも最高級品とされています。
水参の利用方法
生の高麗人参である水参は、野菜のように料理に使用されるほか、高麗人参酒や、はちみつ漬けなどに利用されています。
料理に使う
サムゲタン
高麗人参を使った料理で有名なのが、韓国のスープ料理サムゲタンです。
サムゲタンは、内臓を取り出した鶏に、高麗人参・もち米・乾燥ナツメ・栗・松の実・ニンニクなどを詰め、水に入れて数時間以上煮込んだ料理です。食卓で塩・こしょう・キムチなどを加え、好みの方法で味を調えて食べます。
サムゲタンは熱いスープ料理ですが、夏の料理として提供する店が多く、夏バテなどの疲労回復に効果的といわれています。
天ぷら
水参は韓国料理の材料のほか、日本では天ぷらの材料としても利用されます。苦いイメージのある高麗人参ですが、天ぷらにすると自然な甘みや、もっちりとした食感が強調され、美味しく食べることができます。
はちみつ漬け
高麗人参は独特の苦味を緩和するために、はちみつと合わせてよく利用されます。はちみつ漬けはその代表例です。
作り方は、水参を輪切りにして一晩乾燥させた後で瓶に入れ、はちみつを入れて密閉します。冷蔵庫に保管し、一週間程度置いて味をなじませたら食べごろです。
このほか、水参をそのままスライスしてはちみつを付けて食べる方法も、韓国などでは一般的です。
糠漬け
高麗人参は、ほかの野菜と同様に漬物にしても美味しく食べられます。糠床に入れて、好みの漬かり具合で取り出します。高麗人参の苦味と糠の風味がマッチして、独特の味が楽しめます。
このほか、ごぼうなどの根菜のように、煮物やきんぴら、炒め物の材料にも利用できます。また、すりおろしてパンケーキやパウンドケーキなどに混ぜて使う調理法もあります。
高麗人参には独特の風味や苦味がありますが、加熱調理することであまり気にならなくなります。
高麗人参酒に使う
お酒に漬けて高麗人参酒にする方法も、水参の利用法として一般的です。高麗人参酒は、疲労回復や血圧の調整、不眠の改善などに効果的とされる薬用酒です。
水参は保存がきかないため、料理などで食べ切れない場合には、お酒に漬けて有効利用するのがお勧めです。
高麗人参酒の作り方は簡単です。水参についている土や汚れを水で洗い流し、水気を取るために2-3日乾かします。これを広口のビンに入れ、アルコール度数35度程度のホワイトリカーを注いで、冷暗所で保管するだけです。
高麗人参を漬けるお酒にはホワイトリカーが主に使用されますが、ブランデーを使う方法も一般的です。
水参を使った高麗人参酒は、漬けてから1-2ヶ月で飲めるようになります。じっくり成分を抽出したい場合は、1年程度待つのも良いでしょう。高麗人参の独特の味が苦手で飲みにくい場合は、はちみつを入れると飲みやすくなります。高麗人参酒の摂取量の目安は、一日10ml程度です。
お酒に漬けた水参は、再度、高麗人参酒の材料に利用できます。この場合、1回目よりもアルコール度数の高いお酒を使うと成分が抽出されやすくなります。3回は高麗人参酒をつくることができるといわれているため、一度漬けたものを捨てたりせず、貴重な高麗人参を有効利用しましょう。
白参・紅参の利用方法
白参や紅参は乾燥させた高麗人参です。これらは煎じて飲む利用法が最も人気で、高麗人参酒や料理にも利用されます。
煎じてお茶として飲む
白参や紅参の利用法として最も一般的なのが、煎じて飲む利用法です。この利用法は古くから行われており、高麗人参の成分を摂取するのに最適といわれています。
高麗人参を煎じる場合は白参や紅参を使うのが一般的ですが、生のままの水参が使われることもあります。
作り方は、水1リットルあたり白参や紅参を20g程度入れ、さらに乾燥ナツメやショウガを少し加えます。弱火で1時間以上煎じたら出来上がりです。お好みで、はちみつやレモン、砂糖を加えて飲みます。
水の量が少ないと成分が完全に溶け出さないため、材料の配分に注意して多目の水で煎じましょう。高麗人参に含まれる有効成分のサポニンには、水に混ぜて振ると泡立つ性質があります。このため、煎じる際はふきこぼれないよう注意が必要です。
水参と同じく料理やお酒にも使える
白参や紅参は水で戻すと、水参と同じようにサムゲタンなどの料理に利用できます。水参の項目を参考に、お好みの方法で調理してみましょう。
また、高麗人参酒の材料として、白参や紅参を水で戻さずそのままお酒に漬ける利用方法も一般的です。乾燥した高麗人参をお酒に漬ける場合は、成分が濃縮されているため、水参を使う場合よりも高麗人参の量を少なめにします。
白参や紅参をお酒に漬けた場合、水参に比べて成分が抽出されるのに時間がかかるため、飲めるようになるまでに3ヶ月から半年程度の時間が必要です。水参の場合と同じく、一度お酒に漬けた白参や紅参も、何度か高麗人参酒の材料として再利用できます。
粉末の高麗人参の利用方法
白参・紅参はそのままの形でも販売されていますが、これらをさらに加工した粉末状の高麗人参も販売されています。粉末はそのままでは飲みにくいため、多くの場合、飲み物や料理などに混ぜて利用されます。
高麗人参スムージー
粉末の高麗人参は、ほかの食材と混ぜてスムージーにして飲むと、飲みやすく健康にも良いためお勧めです。
作り方は、牛乳(豆乳)200cc、バナナ1本、きな粉大さじ1、ヨーグルト大さじ2、高麗人参の粉末小さじ2、はちみつ大さじ2、氷2個程度をミキサーに入れてよく混ぜます。このほか、お好みで野菜や果物を加えてみてください。
高麗人参スムージーは、忙しい朝や食事量を減らしたい夜間の栄養補給に適した飲み物です。現代の食生活で不足しがちなビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、身体の健康維持やダイエットにも最適です。
高麗人参ゼリー
粉末の高麗人参は、ゼリーに入れてもさっぱりとした味で美味しく食べられます。
作り方は、鍋に水、砂糖、粉寒天、高麗人参の粉末を入れて溶かし、容器に移して冷蔵庫で冷やして固めます。ホイップクリームやはちみつを付けると、より食べやすくなります。
高麗人参は夏バテにも効果的なため、さっぱりとした高麗人参ゼリーは暑い夏のデザートに適しています。
料理に混ぜる・ふりかける
粉末の高麗人参を料理に混ぜる利用法もあり、高麗人参の成分を摂取しやすくお勧めです。
ホットケーキ、パンケーキ、パウンドケーキなどに混ぜる利用法が人気で、スープに溶かして飲む方法も一般的です。パスタなどの料理にふりかける方法もあります。
サプリメントや食品に利用される高麗人参
高麗人参は水参、白参、紅参、粉末状などの形態で販売されているほか、高い健康効果が注目され、カプセルや錠剤などのサプリメントも数多く販売されています。
サプリは調理などの手間がかからず保存もきくため、手軽に高麗人参の成分を摂取したい場合はサプリを利用するのもお勧めです。
また、高麗人参を使った様々な食品が販売されています。例えば、高麗人参のエキスが入った栄養ドリンクや、ガム・キャンディー・ゼリーなどのお菓子が挙げられます。
高麗人参の味や効果を気軽に試してみたい場合は、こうした食品を利用するのも選択肢のひとつです。
高麗人参は美容用品にも使われている
高麗人参は、食品としてだけでなく、美容製品にも利用されています。高麗人参のエキスを使用した石鹸、化粧水、クリームなど数多くの美容用品が販売されており、これらは主に韓国で製造されています。こうした製品は、日本でも通信販売などで購入できます。
まとめ
高麗人参は加工法によって、水参・白参・紅参の3つの種類に分けられます。生の水参は料理や高麗人参酒の材料として利用され、乾燥した白参・紅参は主に煎じて飲用されます。これらをさらに加工した粉末状の高麗人参も販売されており、一般的に飲み物や料理に混ぜて使われます。
高麗人参は高い健康効果をもつため、古くから珍重されてきました。これらの利用法を参考に、健康に役立つ高麗人参をいちど試してみることをお勧めします。